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日本マス・コミュニケーション学会サテライトミーティング 2007年6月8日      

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占領期新聞・雑誌データベースのプロジェクトについて

山本武利
占領期メディア 新聞・雑誌データベース化 プロジェクト委員会 代表
早稲田大学政治経済学術院教授


 私どもは2000(平成12)年度から2004(平成16)年度まで日本学術振興会から科学研究費(研究成果公開促進費)2億5千万円を受け、アメリカ・メリーランド大学マッケルディン図書館の所蔵するプランゲ文庫の中の雑誌の占領期雑誌記事情報データベースを作成してきました。この機会に私どもの作業の現況をお知らせしたいと思います。

 占領期雑誌記事情報データベースにはあらゆるジャンルの全雑誌、全号の目次、表紙等から著者名、記事・論文タイトル名、本文・小見出し、分類記号、分類項目、検閲に関する情報、巻号、発行所(出版者)、発行年月日、発行地などの情報が入力しました。そしてその成果物を平成12年11月から順次インターネットで公開してまいりました。そして昨年2月に196万件の目次のデータベースを完成し、http://prangedb.kicx.jp/ で無料公開しております。

 幸い占領期雑誌記事情報データベースはインターネットで2002年に公開して以来、各方面に注目され、活用されています。利用者には最初の登録の際にアドレスの登録を求めていますが、現在その登録者数は約3千名を数えています。各分野での研究成果や新発見が相次ぎ、その際にこのデータベースがほとんどの全国紙、地方紙、共同通信、NHK、文芸春秋など各メディアに紹介されています。最近でも『朝日新聞』や『アエラ』別冊に紹介されたような手塚治虫の初期漫画や『毎日新聞』に紹介された室生犀星の小説の発見があります。また、私たちのチームでも独自に雑誌研究を進め、2006年8月に山本武利編『占領期文化をひらく――雑誌の諸相』(早稲田大学出版部)を刊行しました。

 また2005年3月にはシカゴのアジア学会で、また2006年9月にはメリーランド大学で私どもが研究発表を行ないました。その結果、アメリカの有力大学の研究者からのアクセスが増加しています。またメリーランド大学も私どもの貢献を評価し、昨秋、今後の協力関係を示す協定書を同大学と私どもの間で作成しました。そのため今年早々から雑誌データベースのトップページにその関係を表示することになりました。

 早稲田大学政治経済学術院では現代政治経済研究所の一室を新聞データベース作成や雑誌データベースの修正のために提供してくれています。データベース作成の際には、正確入力に十分に注意したつもりですが、一部に重複入力、入力見落し、誤入力などを発見しています。利用者からもメールで気付いた誤りの指摘を受けつけています。196万件全体にわたり、修正を行なうことができませんが、分かりました範囲で原文と対照し、修正を行なっています。また関連語、類似語、反対語などを体系的に整理するシソーラス作成の作業も継続的に行なっています。そのシソーラス投入によって、ヒット率を高めるのがねらいです。

 雑誌と並ぶ二大メディアである新聞のプランゲ文庫所蔵のマイクロフィルム版は、18,047タイトル、3,826リール、推定紙面170万頁、推定2,600万記事というこれまた膨大なものを含んでいます。新聞には雑誌のような論文名、執筆者名の目次がないため、検索機能を格段に向上させるため独自の工夫を講じています。本プロジェクトでは、見出し、記事冒頭100字(リード部分がある場合はリードのみ)、人名、国名、地名など固有名詞(各記事最高5個)、検閲の有無、写真の有無(ある場合はキャプション)、掲載紙名、掲載日、掲載ページ、発行形態(朝刊・夕刊・附録・号外)情報、広告(広告主、商品名)をマイクロフィルムより入力しています。

 膨大な記事量なので、新聞の6ヵ年計画では、戦前からの有力既存紙及び新興紙を含む当時の日本新聞協会加盟120紙に限定して作業を行なっています。そして初年度である平成18年度においては、3,100万円の科学研究費を得て、九州、四国地方で発行された新聞の入力を開始しました。そして平成19年度では2,460万円を得て、九州地区の残りと中国地方の各紙の入力を開始しました。今年5月には、成果物の一部をインターネットで公開しました。その際、現行の占領期雑誌記事情報データベースとのフリー・キーワードによる統合検索を行なっています。したがってデータベースのタイトルは「占領期新聞・雑誌情報データベース」に変更しました。

 このデータベース・プロジェクトの推進のために20世紀メディア研究所なるものを2001年に設置しました。そこでは研究活動として20世紀メディア研究会と占領期雑誌研究会を開催しています。また記念講演会を1年に1回の割合で開催し、データベースの周知、啓蒙を行なっています。そして研究発表された成果を中心に『 Intelligence (インテリジェンス) 』を創刊し、2007年4月現在、8号まで刊行しています。こうした研究成果がかなり蓄積されてきましたので、それらをテーマ別に編成し直し、また足りない部分を増補して、年1、2点の専門書からなるインテリジェンス叢書刊行を企画しています。

 また現実に刊行が決定しているものに、『占領期雑誌資料大系』という大型企画があります。これは主として占領期雑誌研究会の産物ですが、占領期雑誌に現われた各分野の記事を厳選し、文学編、映画編、生活編、思想編に分け、2008年から数年かけて岩波書店から20巻から30巻刊行する予定です。

 さらに2007〜2009年度の科研費(基盤研究B)で、われわれのグループは、「学際的枠組みでの占領期諸言説分析による「戦後日本社会」形成と変容に関する共同研究」(研究代表者:谷川建司)で1,662万円を獲得しました。これは20世紀メディア研究所の主目標である占領期メディアのシソーラス作成による占領期新聞・雑誌データベースのヒット率の向上をねらった研究でありますが、その副産物として『占領期新語辞典』や『占領期メディア・検閲辞典』の刊行も視野に入れています。

 以上のような当プロジェクトへの皆様方のご理解をいただき、これからも一層のご指導、ご支援をお願い申し上げます。

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