婿殿宿
婿殿宿
面白おもしろい事〱なき弁慶のしのだづまとうざい〱爰にあはれをとゞめしは此よし松にとゞめたり元より其身は父斗母はさられていなれたでなき弁慶と申也コリヤ伊五よもふ人形にんきやう廻しいや〱かゝさんを呼でくれいやいソレ其様にむり云しやると旦那さんにいふてこなはんも追出さすぞ跡の月からおかまがわれて手代は手代でねづみの子かなんぞの様に目か明ぬといふて追出し飯焚めしたきは大きなあくひしたといふて隙やり今ではこなはんとわしと旦那はんとばつかりどふで此内をぬけそけするのかしてちよこ〱船へ荷物にもつが行欠落かけおちするなら人形はこいこふぞやイヤ人形廻しよりおりやもふねたいアレもふおれまでをそゝのかす程にのよござるはおれがだいてねてやろいやじやなぜにわれにはちゝがない物おりやいやじやアレ又むりいはしやるこなたが女の子なら乳よりよい物が有けれど何をいふても相婿あいむこ同士どし是も涙のたねぞかし折ふしへ侍二人たそ頼ふ義平殿はお宿にかといふもひそめく内からつこど旦那様は内に我等人形廻しでいそがしい用があらばはいつた〱イヤ案内致さぬも無礼原郷右衛門大星力弥ひそかに御意得たいと申ておくりやれ何じや腹へり右衛門大食くひやこりやたまらぬア旦那様大きなけないどが見へましたとさけふよし松引連て奥へ入ば亭主義平又

文弥:爰に,ハルフシ:爰に文弥/ハルフシ

中:とゞめしは

ハル:此ハル

詞:元より

ハル:母はハル

フシ:なき弁慶とフシ

ナヲス:コリヤ,詞:コリヤナヲス/詞

フシ:是も,ハル:是もフシ/ハル

地:折節,ウ:折節地/ウ

ウ:義平殿は

ウ:お宿にかと

ハル:いふもハル

詞:旦那様は

サハリ:人形廻しで,ハル:人形廻しでサハリ/ハル

ウ:いそがしい

ナヲス:用が,詞:用がナヲス/詞

地:叫よ,ハル:叫よ地/ハル

ウ:引連て

フシ:奥へフシ

地色:亭主,ウ:亭主地色/ウ

詞:又