殿
持参せし書翰しよかんが心元なし様子見とゞけ跡よりしらさんやはり我等が帰るていにて貴殿かごにひつそふて⊗合点〱と點頭うなづき合駕には人の有体に見せてしづ〱立帰る⊗折に二かいへ勘平が妻のおかるはゑいさましはや里なれて吹風にうさをはらして居る所へ⊗ちよといてくる由良助共有ふ侍が大事の刀を忘れて置たつゐ取てくる其間に掛物もかけ直しすみもついでおきやアヽそれ〱〱こちらの三味線しやみせんふみおるまいぞ是はしたり九太はいなれたそふな父よ母よと泣声聞ば妻に鸚鵡あふむのうつせしことヱヽなんじやいなおかしやんせ⊗あたり見廻し由良つりとうらう)燈籠のあかりをてらよむなが文は御臺より敵の様子こま〲と女の文の跡やさき候ではかどらず⊗よその恋よとうらやましくおかるは上より見おろせど夜目とを目なりしやうもおぼろ思ひ付たるのべかゝみ出して写してよみ文章ぶんしやう⊗下屋よりは九大夫がくりおろす文月かげにすかし読とは⊗神ならずほどけかゝりしおかるが玉笄かんざしばつたり落れば⊗下にははつと見上うしろへ隠す文⊗ゑんの下には猶ゑつぼ⊗上にはかゞみのかげ隠し由良さんか⊗おかるかそもじはそこに何してぞ⊗わたしやおまへにもりつぶされあんまりつらさにゑいさまし風にふかれて居るわいな⊗ムウハテ

地:合点,ハル:合点地/ハル

ウ:駕には人

フシ:見せてフシ

ハルフシ:折に二ハルフシ

中:勘平が

ウ:妻の

ハル:酔さハル

ウ:はや

中:吹風

フシ:うさをフシ

詞:ちよと

三下リ:父よ,歌:父よ,ハル:父よ三下リ/歌/ハル

ウキン:泣声ウキン

ウ:妻に

ウキン:うつせしウキン

下:ヱヽ

ウ:なんじやいな

ウキン:おかしやんせウキン

ハルフシ:あたりハルフシ

中:由良助釣

ウ:釣燈籠の

ハル:照し読ハル

ウ:読長

中:女の文

ハルフシ:候ではハルフシ

中:はかどらず

地:よその,ハル:よその地/ハル

ウ:上より

ウ:夜目

ウ:字性も

ウ:思ひ付たるの

フシ:出して,ハル:出してフシ/ハル

中:写して

ハル:読取文章ハル

中:下屋よりは,ウ:下屋よりは中/ウ

ウ:くり

下:月かげ,キン:月かげ下/キン

ハル:神ならずハル

ウ:ほどけ

ウ:ばつたり

色:落れば⊗

ウ:下には

ハル:縁の下にはハル

ウ:上には

色:かげ

詞:由良さんか