黄金三十枚若狭助奥方一黄金廿枚家老加古川本蔵同十枚番頭同十枚侍中右の通と読上れば師直は明た口ふさがれもせずうつとりと主従顔を見合せて氣ぬけの様にきよろりつと祭の延た六月の晦日見るが如くにて手持ぶさたに見へにける俄に詞改めて是は〱〱痛入たる仕合伴内こりやどふした物ハテ扨々ハアお辞宜申さばお志背くといひ第一は大きなぶ礼ヱヽ式作法を教るもこんな折にはとんとこまるナニものじやはイヤハヤ本蔵殿何の師範致す程の事もないが兎角マア若狭助殿は器用者師範の拙者及ぬ〱コリヤ伴内進物共皆取納めヱヽ不行義な途中でお茶さへ得進ぜぬと手の裏返す挨拶に本蔵が胸算用してやつたりと猶も手をつき最早七つの刻限早お暇殊に今日は猶はれの御座敷弥主人の義御引廻し頼存ると立んとする袂をひかへハテゑいわいの貴殿も今日の御座敷の座並拝見なされぬかイヤ倍臣の某御前の恐大事ない〱此師直か同道するに誰がぐつといふ者ない殊に又若狭助殿もなんぞれかぞれ小用の有物ひらに〱とすゝめられ然らば御供仕らん御意を背くは返つて不礼先おさきへと跡に付金で頬はる算用に主人の命も買て取二一天作そろ盤のけたを違へぬ白鼠忠義忠臣忠孝の道は一筋真直に打連御門に入にける程もあらさず入来るは塩冶判
黄金三十枚若狭ノ助奥方一ツ黄金廿枚家老加古川本蔵同十枚番頭同十枚侍イ中右の通リと読上れば師直は明イた口ふさがれもせずうつとりと主従顔を見合せて氣ぬけの様にきよろりつと祭の延た六月の晦日見るが如くにて手持チぶさたに見へにける俄に詞改めて是は〱〱痛入たる仕合セ伴内こりやどふした物ハテ扨々ハアお辞宜申さばお志背くといひ第一は大きなぶ礼ヱヽ式作法を教るもこんな折にはとんとこまるナニものじやはイヤハヤ本蔵殿何ンの師範致す程の事もないが兎角マア若狭ノ助殿は器用者師範の拙者及ぬ〱コリヤ伴内進ン物共皆取納めヱヽ不行義な途中でお茶さへ得進ンぜぬと手の裏返す挨拶に本蔵が胸算用してやつたりと猶も手をつき最早七つの刻限早お暇殊に今日は猶はれの御座敷弥主人の義御引廻し頼存ると立んとする袂をひかへハテゑいわいの貴殿も今日の御座敷の座並拝見なされぬかイヤ倍臣の某御前の恐大事ない〱此師直か同道するに誰がぐつといふ者ない殊に又若狭ノ助殿もなんぞれかぞれ小用の有ル物ひらに〱とすゝめられ然らば御供仕らん御意を背くは返つて不礼先ツおさきへと跡に付キ金で頬はる算用に主人の命も買て取ル二一天作そろ盤のけたを違へぬ白鼠忠義忠臣忠孝の道は一ト筋真直に打連御門ンに入にける程もあらさず入来るは塩冶判
地:右の,ハル:右の地/ハル
ウ:直は明ウ
ウ:うつとりとウ
ウ:主従ウ
ウ:祭のウ
フシ:手持ぶさたに,中:手持ぶさたにフシ/中
地:俄に,ハル:俄に地/ハル
色:改めて色
詞:是は詞
地色:手の,ウ:手の地色/ウ
ハル:本蔵がハル
ウ:してウ
色:手を色
詞:最早詞
地:立んと,ハル:立んと地/ハル
色:袂を色
詞:ハテ詞
地:然らば,ウ:然らば地/ウ
詞:御意を詞
地:先,ウ:先地/ウ
ウ:金でウ
ウ:主人のウ
ハル:買て取ハル
ウ:天作ウ
色:そろ盤の色
ウ:けたをウ
ハル:白鼠ハル
ウ:忠臣ウ
ウ:忠孝のウ
フシ:打連フシ
ハルフシ:程もあハルフシ
色:入色
ウ:塩冶ウ