お乳が帝様にあだし心も付ふかと人々に疑はれんさあれば生てお為にならぬ君の御事くれ〲も頼置は義経殿と用意の懐剣咽に突立名残惜げに御顔を打守り〱さらばと計を此世の暇あへなく息はたへにける思ひ設ぬ局の最期君は猶さら知盛も重なる憂目に勇氣も砕け暫し詞もなかりしが天皇の御座近く涙をはら〱と流し果報はいみじく一天の主と産れ給へ共西海の波に漂ひ海にのぞめ共汐にて水にかつせしは是餓鬼道ある時は風波にあひお召の船をあら磯に吹上られ今も命を失はんかと多の官女が泣さけぶはあびけうくはん陸に源平戦ふは取もなをさず修羅道の苦しみ又は源氏の陣所〱に数多駒のいなゝくは畜生道今いやしき御身となり人間の憂艱難目前に六道の苦しみを請給ふ是といふも父清盛外戚の望有によつて姫宮を御男宮といひふらし権威をもつて御位につけ天道をあざむき天照太神に偽り申せし其悪逆つもり〱て一門我子の身にむくふたか是非もなや我かく深手を負たればながらへ果ぬ此知盛只今此海に沈んで末代に名を残さん大物の沖にて判官に怨をなせしは知盛が怨霊なりと伝へよやサア〱息ある其中に
お乳が帝様にあだし心も付ふかと人々に疑はれんさあれば生てお為にならぬ君の御事くれ〲も頼置は義経殿と用意の懐剣咽に突立名残惜げに御顔を打守り〱さらばと計を此世の暇あへなく息はたへにける思ひ設ぬ局の最期君は猶さら知盛も重なる憂目に勇氣も砕け暫し詞もなかりしが天皇の御座近く涙をはら〱と流し果報はいみじく一天の主と産れ給へ共西海の波に漂ひ海にのぞめ共汐にて水にかつせしは是餓鬼道ある時は風波にあひお召の船をあら磯に吹上られ今も命を失はんかと多クの官女が泣さけぶはあびけうくはん陸に源平戦ふは取リもなをさず修羅道の苦しみ又は源氏の陣所〱に数多駒のいなゝくは畜生道今いやしき御身となり人間の憂艱難目前に六道の苦しみを請ケ給ふ是といふも父清盛外戚の望有ルによつて姫宮を御男宮といひふらし権威をもつて御位につけ天道をあざむき天照太神に偽り申せし其悪逆つもり〱て一門我子の身にむくふたか是非もなや我かく深手を負たればながらへ果ぬ此知盛只今此海に沈んで末代に名を残さん大物の沖にて判官に怨をなせしは知盛が怨霊なりと伝へよやサア〱息ある其中に
ウ:帝様にウ
ウ:付ふかとウ
ウ:疑はれんウ
ウ:さあればウ
色:ならぬ色
詞:君の詞
地色:用意の,ウ:用意の地色/ウ
ハル:名残ハル
ウ:打守りウ
ウ:〱ウ
ウ:さらばとウ
フシ:あへなくフシ
地色:思ひ,ウ:思ひ地色/ウ
ハル:局のハル
ウ:君はウ
ウ:重なるウ
中:なかりしが中
ウ:天皇のウ
ハル:涙をハル
色:流し色
詞:果報は詞
地色:西海の,ウ:西海の地色/ウ
ハル:のぞめ共ハル
ウ:水にウ
色:餓鬼道色
ウ:あるウ
ハル:お召のハル
ウ:あら磯にウ
ウ:今もウ
ウ:多のウ
ウ:あびけうくはんウ
入:び入
中:陸に,ウ:陸に中/ウ
ウ:取もウ
ウキン:又はウキン
ウ:源氏のウ
ハル:陣所ハル
ウフシ:畜生道ウフシ
詞:今詞
地色:是と,ハル:是と地色/ハル
ウ:外戚のウ
色:よつて色
詞:姫宮を,ノル:姫宮を詞/ノル
地色:天照太神に,ハル:天照太神に,ウ:天照太神に地色/ハル/ウ
ウ:つもりウ
中:むくふたか中
フシ:是非もフシ
地色:我,ウ:我地色/ウ
ウ:ながらへウ
ハル:知盛ハル
ウ:只今ウ
ウ:大物のウ
ウ:怨をウ
色:伝へよや色
詞:サア詞