退殿退駿
退殿退駿
めと藤太手早くなは切ほどき鼓をばい取引立行んとする所へ四郎兵衛忠信君の御跡したひ来てかくと見るより飛かゝり藤太が肩骨かたほねひつつかみ初音の鼓をばいかへしちうひつさげ三間取て投退のけ静をかこひふんぢかつて立たるは心地よくこそ見へにけれヤア忠信殿よい所へよふみへたと悦べば逸見はやみの藤太扨は忠信よき敵搦捕からめとつ高名かうめいせんとばら〱と追取まくヤアしほらしいうんざいめらならば手柄にからめて見よと云せも立ず双方さうほうよりとつたとかゝるをひつぱづし首筋つかでゑいやつと右と左りへもんどり打透間すきまもなくうしろより大勢ぬき切てかゝれば心得たりと抜合せつばなの穂先ほさきとひらめく刀を飛鳥ひてうのごとく飛越とびこへはねこへかけ廻り眉間みけん肩骨かたぼねなぎ廻ればわつと計に逃退にげのいたりおくれて逃逸見はやみの藤太がそつ首つかんでどうど投足下そつかにふまへ儕等が分際ぶんざいで此鼓を取んとはとうよりあつきつらかはやぶつてくれんづとぽん〱とふみのめせばぎやつと計最期さいごにて其儘いき絶果たへはてたり鳥井の本のこかげより義経主従しう〲かけ出〱めづらしや忠信と仰を聞よりはつと計こは存よらぬ見参げんざんと飛しさつて手をつけば亀井駿河武蔵坊互に無事をかたりあふ忠信かさねて頭をさげ先はかはらぬ君の尊顔そんがんはいし申て拙者も安堵あんど某も母が病氣見まひの為おいとま給はり生国しやうこく出羽に罷下りなが々の介抱かいほう程なく母も本ぷく致し罷のぼらんと

ハル:藤太ハル

ウ:鼓を

フシ:引立フシ

地色:四郎,ハル:四郎地色/ハル

色:忠信

ウ:君の

ハル:斯とハル

中:飛かゝり

ウ:藤太が

ウ:初音の

ハル:提ハル

ウ:取て

ウ:ふんぢかつて

フシ:心地フシ

詞:ヤア

地:よふ,ハル:よふ地/ハル

色:逸見の

詞:扨は

地:搦捕て,ハル:搦捕て地/ハル

色:追取まく

詞:ヤア

地:云せも,ハル:云せも地/ハル

色:双方より

詞:捕た

地:右と,ハル:右と地/ハル

ウ:透間も

ウ:大勢

色:かゝれば

ウ:心得たり

ウ:飛鳥のごとく

ウ:かけ廻り

ウ:眉間

フシ:わつとフシ

地色:おくれて,ウ:おくれて地色/ウ

ハル:逸見のハル

色:足下に

詞:儕等が

地:ぽん〱,ハル:ぽん〱地/ハル

フシ:其フシ

地色:鳥井の,ウ:鳥井の地色/ウ

ハル:義経ハル

ウ:仰を

ウ:こは

ウ::見ウ:

色:手を

ウ:武蔵坊

中:互に,フシ:互に中/フシ

地色:忠信,ハル:忠信地色/ハル

色:頭を

詞:先は