究竟の輩を休息と偽り国々へわけ遣はし忍び〱に討取手筈かく都に安座すれ共心は今に戦場の苦しみ兄頼朝は鎌倉山の星月夜と諸大名に傳かれ月雪花の翫び同し清和の種ながら晨には禁庭に膝を屈し夕部には御代長久の基をはかるいつか枕を安んぜん浅間しの身の上と打しほれ給ふにぞげに理りと重頼も思ひながらも役目の説破ムウ扨は其御述懐有故御謀叛思し立れしかといはせも立ずくはつとせき上ヤア穢らはし謀叛とは何を以て何を目当と御氣色かはれどちつ共恐れず君鎌倉を亡さんと院宣を乞給ひしに初音の鼓を以て裏皮は義経表皮は頼朝打といふ声有とて頂戴有しとは左大臣朝方公より急のしらせと聞て義経扨は朝方が讒言せしな其鼓の事は某兼ての懇望下し置るゝ場に成て反逆によせたる詞の品是朝方のはからひとは思へ共院中より下さるゝ恩物請納めずは綸命に背く受ては兄頼朝へ孝心立ずと望に望し一挺なれ共打ては鼓に声有とアレあのごとく床にかざりて詠る計神明佛陀も上覧あれ打もせず手にもふれずと仰に川越ハヽヽヽヽはつと三拝し其御誓言の上何疑ひ奉らん二つの仰分られさつぱり明白去ながら情なきは今一つ御簾中卿の君は平大納言時忠の娘平家に御縁組
究竟の輩を休息と偽り国々へわけ遣はし忍び〱に討取手筈かく都に安座すれ共心は今に戦場の苦しみ兄頼朝は鎌倉山の星月夜と諸大名に傳かれ月雪花の翫び同し清和の種ながら晨には禁庭に膝を屈し夕部には御代長久の基をはかるいつか枕を安んぜん浅間しの身の上と打しほれ給ふにぞげに理りと重頼も思ひながらも役目の説破ムウ扨は其御述懐有ル故御謀叛思し立れしかといはせも立ずくはつとせき上ヤア穢らはし謀叛とは何を以ツて何を目当と御氣色かはれどちつ共恐れず君鎌倉を亡さんと院宣を乞給ひしに初ツ音の鼓を以ツて裏皮は義経表テ皮は頼朝打といふ声有とて頂戴有しとは左大臣朝方公より急のしらせと聞て義経扨は朝方が讒言せしな其鼓の事は某兼ての懇望下タし置るゝ場に成て反逆によせたる詞の品是朝方のはからひとは思へ共院中より下さるゝ恩物請ケ納めずは綸命に背く受ケては兄頼朝へ孝心ン立ずと望に望し一ツ挺なれ共打ツては鼓に声有リとアレあのごとく床にかざりて詠る計神ン明イ佛陀も上覧あれ打チもせず手にもふれずと仰に川越ハヽヽヽヽはつと三拝し其御誓言の上何疑ひ奉らん二つの仰分ケられさつぱり明白去ながら情なきは今一つ御簾中卿の君は平大納言時忠の娘平家に御縁組
地:忍び,ウ:忍び地/ウ
ハル:心はハル
色:苦しみ色
詞:兄詞
地:浅間しの,ハル:浅間しの地/ハル
スヱ:打しほれスヱ
中:給ふにぞ中
地色:げに,ハル:げに地色/ハル
中:思ひながらも中
色:役目の色
詞:ムウ詞
地:いはせも,ハル:いはせも地/ハル
色:立ずく色
詞:ヤア詞
地:御氣色,ハル:御氣色地/ハル
色:恐れず色
詞:君詞
地:聞て,ウ:聞て地/ウ
詞:扨は詞
地:院中より,中:院中より,ウ:院中より地/中/ウ
ハル:納めずはハル
ウ:受てはウ
ウ:孝心ウ
ウ:望にウ
色:一挺なれ共色
色:挺なれ共色
詞:打ては詞
地色:神明,ウ:神明地色/ウ
ハル:打もハル
ウ:仰にウ
色:三拝色
詞:其詞