駿殿駿
駿殿駿
上ればみだいはおかしく君にもわらひ駿河次郎ぶつてう顔いやはやかゝつた事ではない六郎おきやつたか武蔵坊弁慶共いはるゝ者が女中を頼でお詫言わびごとがく屋へいて泣といのホウちつとそふであろ〱彼めと馬のあふた伊勢片岡かたおか熊井くまゐわしおさまつてより休息きうそくのお暇で国々へ帰る頼みに思ふ佐藤忠信さとうただのぶは母の病氣と有て出羽の国へいぬる貴殿きでんと某は相手にならずどこ打てまをふでまひから取入て詫言わびことまそつとこらしていつその事坊主天窓あたまやつこにせうといふて見たらば猶よかろと内證評義ないしやうへうぎも猶おかしくみだいは笑ひの内よりもいか成仕損しそんせし事ぞ笑止おかしい取なしと仰有ば義経公過つるさんだいの折からきんていにての我儘左大臣朝方公への悪口御家来を踏打擲ふみてうちやく急度きつとしかり我目通へ叶はぬと申付たが夫故ならん手綱たづなゆるすと人くひ馬公家でも武家でもたまらさぬ持あぐんだしやちほこ主めまそつとこらせと御上意に駿河次郎に乗てじたいあの七つ道具が大きな邪魔じやま氏には坊主の大工が有とお家の名おれ此義も急度きつとやめる様仰付られ然るべしと申上れば亀井の六郎イヤまだ七つ道具は御普請ふしんの役にも立難義なんぎな物はあの大長刀なぎなたも四も四尺八尺の物をふり廻すによつて傍辺そばあたりはながたまらぬ太平の代には役に立ぬ人間兎角とかく当分押て置がよかろと評義區へうぎまち々みだいは笑止せうしとヤレ其様にそしるを聞

ウ:駿河

色:ぶつてう顔

詞:いやはや

地:いふて,ウ:いふて地/ウ

ハル:猶ハル

フシ:内證フシ

地色:みだいは,ウ:みだいは地色/ウ

ハル:仕損じハル

ウ:笑止

色:義経公

詞:過つる

地:持あぐんだ,ウ:持あぐんだ地/ウ

ウ:まそつと

ハル:御上意にハル

ウ:駿河

色:図に

詞:じたい

地:申上れば,ハル:申上れば地/ハル

色:亀井の

詞:イヤ

地:兎角,ハル:兎角地/ハル

フシ:評義フシ

地色:みだいは,ウ:みだいは地色/ウ