映画上映とシンポジウム

日本映画と語り物の文化

発掘された『乃木将軍』フィルムを中心に

    日時 2018年12月15日(土)14:00~18:30
    会場 早稲田大学 早稲田キャンパス 小野記念講堂

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    開催趣旨

    明治時代から昭和初期までの日本では、サイレント映画に弁士と呼ばれる語り手が声を当て、観客を魅了していました。しかし時には、弁士にくわえて義太夫・琵琶、浪花節など語り物と呼ばれる多様な芸能も映画上映を彩りました。この流れはトーキー映画の時代にも続き、1930年代にはスター浪曲師の声を録音した「浪曲トーキー」と呼ばれる作品群も制作されています。

    2016年、この浪曲トーキーの35mmフィルムが演劇博物館の小沢昭一旧蔵資料から発見されました。これは現存未確認の『乃木将軍』(池田富保監督、日活、1935年)のもので、小沢氏が芸能座の公演「しみじみ日本・乃木大将」などに関連して収集した資料と考えられます。しかし興味深いことに、発見されたフィルムには浪曲トーキーの最大の特徴である浪曲の音声がなく、字幕をくわえてサイレント映画として再編集されたものであることがわかりました。

    この催しでは、この特殊なフィルムを手がかりに、さまざまな観点から多様な語りと映画の織り成す文化の諸相に光を当てることを試みます。弁士と浪曲師による2種類の語りで『乃木将軍』を上映することにくわえ、現存する乃木将軍関連の琵琶台本の実演、日本映画と語り物の伝統を多角的に討議するシンポジウム、そして小沢氏との親交が深かった矢野誠一氏によるトークを行います。


    プログラム

    14:00開会の挨拶
    14:05第1部シンポジウム「日本映画と語り物」
    ・戦前の日本映画における琵琶と浪曲
        柴田康太郎(早稲田大学)
    ・浪曲史のなかの乃木伝
        真鍋昌賢(北九州市立大学)
    ・明治・大正期の映画と音楽
        小松弘(早稲田大学)
    15:35映画上映1 弁士による『乃木将軍』
     説明:片岡一郎
     ピアノ:神﨑えり
    16:15休憩
    16:30第2部 琵琶弾奏 映画琵琶台本の実演
     琵琶 川嶋信子
     映画琵琶台本:国立映画アーカイブ所蔵
     ※映像の上映はありません
    16:50トーク 小沢昭一と「乃木将軍」
     矢野誠一、児玉竜一(聞き手、早稲田大学)
    17:20映画上映2 浪曲師による『乃木将軍』上映
     浪曲:東家一太郎
     相三味線:東家美
    18:00質疑応答(~18:30)

    主催:早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点
    問い合わせ先:kyodo-enpaku_at_list.waseda.jp ※_at_を@にして送信してください