演劇映像関連資料のデジタル化と共有化

非フィルム媒体に記録された映像資料及び演劇博物館が多数所蔵する紙媒体の一次資料(台本、雑誌、草稿等)のデジタル化と公開による資料の共有化を促進し、国際的な学術交流の場となる新しいデジタルアーカイブのかたちを提起することで、拠点としての機能強化を図る。


平成28年度成果

伊藤道郎関連資料の公開

20世紀前半に舞踊創作を行い、ヨーロッパやアメリカを中心にダンサー・振付家として国際的に活躍し、海外のモダンダンスに絶大な影響を与えた伊藤道郎関連資料の調査を進めた。伊藤道郎の写真や関連記事の管理などを行っているアメリカのNPO法人「Michio Ito Foundation」(代表・ミッシェル・イトウ)と連携しながら、演劇博物館が従来から運用しているホームページ上(「デジタル・アーカイブ・コレクション」)で資料を公開している。

伊藤道郎関連資料は海外からの関心も高く、国内外への広い公開が強く望まれてきた資料群である。2016年度は伊藤道郎の幼少期から1910年代以降の欧米渡航時の舞台公演や生活の記録写真や1940年代以降の写真の考証を進め、ウェブ公開を前提とした著作権処理のための調査を進めた。さらに伊藤道郎が演出を予定していた東京オリンピックのための草稿や雑誌・新聞の切り抜きなどの考証を進めた。その成果に基づき、演劇博物館内での公開、およびその一部のウェブ公開の準備を進めている。アメリカを中心に再評価が進む伊藤道郎及び舞踊研究の国際的発展に寄与することが期待される。

ウェブ公開ページはこちら


図 伊藤道郎演出『ミカド』舞台写真


草創期テレビ台本のデジタル化

当拠点が新たに購入した国会図書館が定める画像データ解像度が撮影可能なブックスキャナを最大限活用しながら、演劇博物館が所蔵する台本資料の保存と活用を推進する。

今年度は、博物館が所蔵する1950~60年代のテレビ台本に焦点を絞り、デジタル化の対象とするタイトルを選定し、デジタル撮影を行った。テレビドラマで活躍した俳優の書込みが残る旧蔵台本や、テレビ局などの団体からの寄贈台本は、草創期以来のテレビ放送の貴重な記録と言える。具体的には、第1回のNHK大河ドラマである『花の生涯』(1963年)で主演を務めた淡島千景旧蔵の台本39冊(全揃)、森繁久彌の旧蔵台本から『七人の孫』(1964~1965年)などを選定した。さらにテレビ草創期の台本『エノケンの水戸黄門漫遊記』(1954年、14回、全揃)や、1950年代のシェイクスピアに関するテレビ台本の調査を進めている。既に『花の生涯』の淡島旧蔵台本を試験的にデジタル館内公開しており、今後の体系的なデジタル化と利活用を通じて、新たな研究領域の進展に大きく貢献することが見込まれる。


『花の生涯』淡島千景旧蔵台本