女性アスリートの諸問題

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女性アスリートの三主徴 Female Athlete Triad (FAT)

1993年にアメリカスポーツ医学会に発表された女性アスリートの三主徴は「摂食障害」・「無月経」・「骨粗鬆症」でしたが、2007年に適切なエナジー・アベイラビリティーが確保されれば正常な月経、骨の健康も維持されるという考え方から、「摂食障害の有無に関わらない低エナジー・アベイラビリティー」、「機能性視床下部性無月経」、「骨粗鬆症」の3つに変更されました。

低エナジー・アベイラビリティー

エナジー・アベイラビリティーは1日の総エネルギー摂取量から運動中のエネルギー消費量を引いた値を除脂肪量(FFM)で除して求められ、日常生活に利用可能なエネルギーのことを指します。エナジー・アベイラビリティーが30kcal/kg FFM未満になると代謝やホルモン機能に異常をきたし、月経異常や骨粗鬆症、パフォーマンスや健康状態を害する可能性があると言われています。しかし、この値は欧米の一般人を対象とした研究を基にしているため、日本人の女性アスリートの指導にこの値を用いることは、現時点では難しい面が多々あります。

機能性視床下部性無月経

日本産婦人科学会の定義では、無月経とは90日以上月経がない状態をいいます。無月経には初経発来がない原発性無月経と、初経を経験した後に視床下部-下垂体系の異常により無月経となる続発性無月経があります。続発性無月経のうち運動が原因となるものを運動性無月経といいます。運動性無月経は激しいスポーツ活動や低体脂肪率や低体重が原因となることが多く、競技レベルの比較的高いアスリートや、陸上長距離や新体操等の体脂肪率が低い持久系競技や審美系競技に多くみられます。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨折リスクが増大した状態をいいます。WHO(世界保健機関)では「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。一般に、運動による力学的ストレスが骨に刺激を与えて骨量を増加させることが知られていますが、運動量が多く、極端な食事制限や食行動に異常のある女性アスリートでは骨塩量の減少が認められ、競技力及び健康面に悪影響を及ぼすことが指摘されています。いずれの種目でも無月経者は正常月経者に比べて骨密度が低くなるという結果となっており、内分泌異常、減食、食行動異常などの全身的な問題によって骨密度の低下が起こるとされています。

早い時期から食事制限を始めると低骨密度者の割合が高くなることが報告されています。また、低骨密度者の多い実業団ランナーのカルシウム摂取量は必ずしも低くないという報告から、現在のカルシウム摂取量よりも骨密度が低下する以前、すなわち最大骨量(peak bone mass)を迎える成長期にカルシウムを十分に摂取して骨塩量を高めておくことが重要であり、最大骨量は成長期の栄養状態に大きく影響を受けるため、ジュニア期からの栄養教育が非常に重要です。

参考文献

1) 
Nattiv A., Loucks A. B., Manore M. M., Sanborn C. F., Sundgot-Borgen J., & Warren M. P. (2007). American College of Sports Medicine position stand. The female athlete triad. Medicine and Science in Sports and Exercise, 39 (10), 1867-1882.
2) 
鳥居 俊 (2005) フィーメールアスリートバイブル, 146-147, 有限会社ナップ.
3) 
骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン作成委員会 (2015) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン, 一般社団法人日本骨粗鬆症学会, 日本骨代謝学会, 公益財団法人骨粗鬆症財団.

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