女性アスリートの諸問題

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女性アスリートの骨の問題

早稲田大学スポーツ科学学術院准教授
スポーツドクター(整形外科) 鳥居俊

スポーツを行うに際して、四肢や体幹の軸となる骨格の強度は大変重要です。特に強い負荷が加わる瞬発系の競技の選手では、強い負荷に耐えられる骨でないと骨折のようなけがが発生してしまいます。私たちの体内の骨の量はカルシウム塩で換算して骨塩量という数値で測定されます。これを用いて特別な運動をしていない大学生の男女で比較すると、いずれも平均で体重の3.8%程度となり、男女差はありませんでした。しかし、大学生運動部員を競技ごとに比較してみると、サッカーなどでは男子の方が多い結果になりました。

男女差が明らかに見られた競技に陸上の長距離走があります。もともと陸上競技の長距離走選手は男女とも骨量・骨密度が低いことが知られていますが、以前から女子長距離走選手の骨の問題は研究対象として多数論じられてきました。女子選手で低い原因として20世紀から体脂肪率が低いこと、女性ホルモンが低くなっていること(無月経を招く)、摂食障害が多いこと、などが挙げられていました。最近は、摂食障害と診断される選手だけでなく、エネルギー摂取がそもそも少ないことが関係するのではないかと考えられ、女性アスリートの三主徴(FAT)として議論されています。図は男女の長距離走選手の体重に対する全身骨量の割合の比較です。女子選手の方が有意に低値になっています。

女子選手の骨検査を私たちはX線骨密度装置(DXA法)で行っていますが、全身の骨密度では長距離走選手といえども多くは若年女性平均値に対してやや低い~高いという結果になります。同様に超音波で踵の骨強度を測定する方法でも平均から高い選手が多数みられると言われています。しかし、腰椎で評価すると若年女性平均値を下回る選手が大部分で、平均でも90%ぐらい、中には70%を下回り骨粗鬆症の診断基準に陥ってしまう選手もいます。

女性の生涯を考えると、50歳前後の閉経現象により骨量が減少し骨粗鬆症の診断を受ける割合が経年的に増大します。女性アスリートの将来を考えると、発育期や青年期にしっかりした骨量・骨密度で長持ちする身体を作っておきたいものです。

体重に占める骨量の比率

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