コンディショニングと栄養

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ウォーミングアップ/クーリングダウン

早稲田医大学スポーツ科学学術院教授
アスレティックトレーナー 広瀬統一

パフォーマンスアップやスポーツ外傷・障害予防のためのコンディショニング方法として近年、運動前の身体の準備が重視され広く行われています。ジョギングなどで身体を温めるだけでなく、機能的に体を使えるようにするエクササイズを運動前に継続することで、若年者や女性アスリートの重篤な外傷や障害が50%近く予防できることが報告されています1)

体幹から下肢のスポーツ外傷・障害予防のために、主に①全身協調性、②可動性向上、③筋機能適正化、④バランス向上、⑤動きの適正化、⑥反動能力(プライオメトリクス)向上の6つを目的としたエクササイズを実施します2)。これらは外傷がなぜ起こるか(Why)、どのように起こるか(How)を分析した結果から得られた項目で、正しいフォームで行うことで効果を発揮します。特に女性アスリートに好発する膝前十字靱帯損傷や足関節捻挫を予防するためには、「着地や切り返し動作で膝や股関節を深く曲げること、膝が内に入らないこと、体幹が適度に前傾すること」といった適切な動作習得が必須なのです3)(図1)。

足関節捻挫を例にしたHowとWhyの関係と傷害予防

また、障害予防や疲労回復のために、試合や練習後にはクーリングダウンも実施しましょう。クーリングダウンはアクティブクーリングダウンとパッシブクーリングダウンに分けられます。アクティブクーリングダウンは激しい運動後にゆっくりと自転車やジョギングをすることで、運動で生じた老廃物を処理したり、乳酸を改めてエネルギーとして用いることを目的とします。パッシブクーリングダウンは冷浴・交代浴・温浴、ストレッチ、マッサージ、そして休養、睡眠、栄養までを含みます。激しい運動後の冷浴や交代浴(表1)は疲労回復を促進してパフォーマンス維持に貢献します4)。是非継続して実施して下さい。

表1:冷浴、交代浴の主な温度、時間、期待される効果
方法 温度 時間 期待される回復効果


10.1℃ 5分 24-48時間後の ・スプリント(自転車)能力
12-15℃ 14分 24-72時間後の ・ジャンプ能力
・スプリント(自転車)能力
・持久力
・筋出力

10-11℃(脚) 15分継続
5分×2(2.5分間隔)
2分×5(2分間隔)
24-48時間後の ・筋出力
・スプリント
・ジャンプ
5℃(腕) 20分×5(60分間隔) 24-48時間後の ・筋力



15℃と38℃を交互 各1分×7セット 24-72間後の ・スプリント(自転車)能力
・持久力


38℃ 14分 24-72時間後の ・スプリント(自転車)能力
・持久力
・筋出力

表1:冷浴、交代浴の主な温度、時間、期待される効果

表1:冷浴、交代浴の主な温度、時間、期待される効果※画像をクリックすると大きな画像を閲覧できます。

参考文献

1) 
Soligard, T., Myklebust, G., Steffen, K., Holme, I., Silvers, H., Bizzini, M., & Andersen, T. E. (2008). Comprehensive warm-up programme to prevent injuries in young female footballers: cluster randomised controlled trial. British Medical Journal, 337, a2469.
2) 
広瀬統一 (2013) 傷害予防のためのプリハビリテーション, コーチングクリニック, (7) 64-67, ベースボール・マガジン社.
3) 
広瀬統一「スポーツ活動中のケガは防げる!」, 読売新聞オンライン版.
(http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/sports_150119.html)
4) 
広瀬統一 (2016) 試合に向けての過ごし方, JOC Conditioning Guide for Rio, 34-36, 公益財団法人 日本オリンピック委員会.

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