コンディショニングと栄養

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コンディショニングのツボ

早稲田大学スポーツ科学学術院教授
NSCA-CSCS/JSPO-AT 岡田純一

早稲田大学スポーツ科学部は「スポーツ医科学クリニック」と称し学生をサポートする体制を有している。その5部門のひとつとして、コンディショニングに関して体育各部の部員、学生からの相談を受けている。

コンディショニング部門は競技力向上に資する身体の諸機能へのアプローチを担う。私は種目特性を考慮しつつも筋機能の中でもとくに筋力を体力要素の重要な基盤として考え、レジスタンストレーニングを指導の主軸としている。例えば、筋力・パワー系競技の選手であれば、レジスタンストレーニングを必要とする意識はもともと高い。一方、持久系競技者ではその必要性すら感じていないこともある。彼らの競技の世界では同じように有酸素性能力の向上に取り組んだ者たちが集って戦っているハズである。その中で勝ち抜くためには「他者に負けない能力を持つことが重要ではないか」、各部の活動のなかで専門種目のトレーニングに取り組んでいるのであるから、「ジム(ウエイトルーム)に来たときにはジムでしかできないこと、ジムで行うべきことに特化して強化しようではないか」と話をする。

女性アスリートの相談、トレーニング指導にあたる機会も多い。内分泌応答から男子の方が筋は発達しやすい、筋量を獲得し易い。けれども、男女に関する生理学的知見として留意していることは、筋力と筋断面積の関係は男女同じであり、「筋断面積当たりの筋力に男女差はない」ことである。すなわち、筋力向上の主因として筋断面積の増大、および神経系機能の向上が挙げられるが、女子は“女子だから男子より力が弱い”のではなく、“筋断面積が小さいから筋力が小さい”のであり、同じ面積であれば男女同じ出力が得られるということである。そのためトレーニング計画の第1段階は”身体づくり”から始まる。ボディビルダーのようにムキムキ(死語?)になることを好まない女子選手もいるであろうが、彼らは高頻度のトレーニングを数年に渡って行うことによってあの身体を作りあげているので、そう簡単にムキムキしないので心配無用である。

このような背景から、いわゆる持久系のクロスカントリースキーの女子選手たちの指導において、1−2年生の間はレジスタンストレーニングの基礎を徹底指導し、身体づくりから筋力・パワー向上のレジスタンスエクササイズを習得させている。それらを基盤として3年生以降は競技特性を考慮して、サーキット法を取り入れた筋持久力向上にシフトし、トレーニングの成果を競技場面へ繋げることに配慮したプログラムを展開している。

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