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女性アスリートの遠征時のコンディション管理

早稲田大学スポーツ科学研究科
スポーツドクター 塚原由佳

これまでのスポーツ帯同の経験の中で、多くの人が思っているほど、女性アスリートが男性アスリートと異なっているとは感じていません。ただどうしても女子アスリートの場合は月経と上手に付き合っていく必要があります。月経困難症による腰痛や腹痛、さらにむくみや気分の変化を感じるアスリートは月経に対してネガティブなイメージを持っていることも少なくありません。月経が遠征・試合時期に重なることもありますし、それによりトレーニング・競技に支障が出ていると感じているアスリートも見られます。また、無月経、つまり月経が3ヶ月以上来なかったり、あるいは一定の年齢になってもまだ初潮を迎えていないアスリートの場合は骨密度の低下を引き起こし、疲労骨折などにつながる可能性が上がります。以上のような月経困難症や無月経のアスリートの場合は遠征後に婦人科の受診を推奨するようにしていますが、どうしても“婦人科を受診する”ということに特にジュニアアスリートは抵抗を感じているアスリートが多いと感じています。そのため、機会があれば遠征中にそのような月経に関連したレクチャーなどをしており、必要があれば医療機関の紹介などもしています。

さらに、一般的に女性アスリートの方が前十字靭帯損傷や足関節捻挫を起こしやすいため、予防のためのトレーニングやテーピングなどをチームのトレーナーとアスリートに指導したりしていますし、海外では事前にサーフェスなどの確認を行っています。

また昨今多くのアスリートが国際試合のみではなく、トレーニングのために、海外遠征を実施する機会が多くなりました。どうしても遠征先の食事はバイキング形式が多いため、摂取内容が偏りがちですが、今まで海外遠征に帯同した経験では女性アスリートの方が現地の食事に対する抵抗が少なく、早く慣れている傾向にあります。

最後に、日本国内では結婚・出産後も競技を継続するアスリートが海外アスリートと比較すると圧倒的に少ないです。これにはまだそのような環境が整っていないという現状が背景にあります。一方で、遠征先で“出産後も競技を続けたい”という話をアスリートからされたことは何度もあります。産後のアスリートが復帰するプログラムが整い、保育環境の整備を含めて、女性アスリートが産後スムーズに復帰できる体制を今後立てられたらと思います。

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