「日本近代舞踊批評の歴史とその理念」プロジェクト2005年度研究会
江戸川乱歩とラン子たち−小説世界のレヴューガール殺し
日時:2006年3月23日(木)16:00〜18:30
会場:早稲田大学西早稲田キャンパス6号館318教室(レクチャールーム)
※無料
※申し込み・問い合わせ [email protected]
ゲストスピーカー:中野正昭氏(早稲田大学演劇博物館助手/明治大学講師)
コメンテーター:杉山 千鶴(早稲田大学スポーツ科学学術院助教授)、國ア 彩(日本学術振興会特別研究員・早稲田大学大学院博士課程)
司会:國吉 和子(早稲田大学演劇博物館COE演劇研究センター客員教授)
テーマは、昭和初期の“モダン主義”に翻弄された流行探偵小説家と6人のラン子という名のレビューガールスを巡る言説である。大正時代、雑誌「新青年」でデビューして以来、瞬く間に探偵小説の大家となった江戸川乱歩は、昭和に入ってからは“エロ・グロ・ナンセンス”風俗を描くようになった。この昭和モダンの時代に、乱歩はラン子という同名のレヴューガールを4作品に登場させている。それは乱歩の“モダン主義という怪物”への憎悪と憧憬の表れでもあった。
主旨:日本近代舞踊批評研究グループでは「舞踊をめぐる言説」をテーマに、これまで戦前の舞踊記事やエッセイ、舞台評に焦点を絞りながら、各種逐次刊行物に発表された文章を収集し、そのデータベース化を進めてきました。今回は、1920年代末から1930年代にかけて都市東京を中心に登場したレヴューダンスについて、その担い手である女性達に光を当てて論考します。石井漠をはじめ、かつて日本の近代舞踊黎明期の舞踊家の多くがレビュウ時代をすごしている事実にもかかわらず、その言説は取り上げられる機会が少なかったといえます。時代の夢の体現者として登場したレヴューガール、その典型的なイメージはどのように作られていったのでしょうか。中野正昭氏には小説家江戸川乱歩と彼の描いた複数のラン子という素材を選んでいただき、私共研究グループからは浅草レビュウ研究の杉山千鶴と、舞踊文化としてのレビュウという視点から國崎彩がご意見番となります。
《ゲスト・スピーカー紹介》中野 正昭 (なかの・まさあき)
【専門】演劇世相史、日本近現代演劇
【著書】『20世紀の戯曲U』『同・V』(共著)社会評論社,2002年・2005年)/
【論文】「『トスキナ』伝説−浅草オペラと大正期アヴァンギャルド演劇に関する一
考察−」(「大正演劇研究」第9号,2005年),「飴屋法水の80年代―舞台と身体を巡
るリアリティの実験―」(「演劇学論集」第41号,2003年),「暗い時代の小市民喜
劇―戦時下『新青年』と新喜劇―」(「文学」,岩波書店,2002年3.・4号)他 |