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年間活動報告 芸術文化環境研究

研究概要 活動報告 2002 2003 2004 2005 2006 2007

1. 公共空間の利用に関する基礎研究(担当:卯月盛夫)

(1) 趣旨
「都市」は、人間がつくり出した最大の芸術文化作品である。特に「都市の広場」は、その時代やその場所の市民の生活を直接的に表現する空間として変化してきた歴史を持つ。「日本には街路はあるが広場がない」といわれるが、近年の大道芸や屋外イベントを通じて、「空間としての広場」から「利用する広場」の意義が再認識されはじめている。そこで、本研究では、大道芸が行われている現場の調査(物的環境、社会的環境、人的環境)を通じて、屋外における芸術文化環境のあり方について考察を行う。

(2) 具体的な対象事例
1. 東京都の「ヘブンアーチスト」による一連の活動(上野、池袋、光が丘、丸の内他)
2.「仙台市定禅寺ストリートフェスティバル」(9月13、14日)
3.「世田谷アートフェスティバル」(10月25、26日)
4.「大道芸ワールドカップ in 静岡」(10月31日〜11月3日)
*「横浜野毛大道芸フェスティバル」は、必要に応じて来年度補足調査を行う。

(3) 調査方法
1. 事前資料の収集と分析
2. 主催者、管理者に対するヒアリング
3. 現場フィールド調査(写真、ビデオ撮影、採寸など)

(4) 報告
2003年度末までに研究報告書を作成する。


2. COEゼミ(担当:松井憲太郎、古井戸秀夫、伊東正示)

(1) 趣旨
公共劇場という場を通じて、舞台芸術は個々の共同体あるいは市民社会、またその成員に文化的な面での自己批評と価値観の再検証の機会を提供する。その場合にどのような舞台芸術が劇場において創られ提供されるべきなのかを指し示すのが、個々の劇場が持つ芸術方針であり、またそれを創り実行する芸術監督以下の組織である。このような性格を持った社会的な単位としての公共劇場の使命、役割というものを国内と海外の歴史、事例を通じて検証する。また、それを実践的な運営論のレベルまで展開していき、とくに芸術創造に関わる劇場での運営者であるドラマトゥルグ(学芸員)やアドミニストレーター(管理運営責任者)に必要とされる知識、技能などを明らかにしていく。

(2) 方法
COE特別研究生や修士課程の大学院生など参加者それぞれの関心にも触れながら、新たな公共劇場研究のあり方を模索していくことを課題とする。松井憲太郎COE非常勤講師(世田谷パブリックシアター)が、文献やテーマといった全体の進行を担当している。 また、劇場で実際に運営に携わっているスタッフにも適宜議論へ参加してもらい、様々な視点から今後の研究のあり方やその現場への生かし方を検討している。
主に1960年代から現在に至る日本の演劇と社会の関係の展開や、その流れの中での公共劇場の位置づけ、海外事例(フランス)との比較、などをテーマに前期は4回実施した。後期は、世田谷パブリックシアターを始めとする具体的な劇場のあり方とその運営・課題、劇場・地域・大学の関係、劇場人(ドラマトゥルグ)のあり方や養成などについて、またCOE特別研究生や大学院生の発表などをテーマに実施する予定である。昨年度、芸術文化環境研究コースと世田谷パブリックシアターとの提携により編集した同劇場のアニュアルレポートも資料として活用する。



3. 専門家を講師に迎えての研究会(担当:伊東正示)
(1) 趣旨
芸術文化環境研究コースでは、以下の2点について、主として外部から専門家をお招きし、研究会を開催している。外部の研究者や大学院生などにも幅広く参加を呼びかけ、この分野の研究を担う若手研究者を中心とした交流も期待している。
*芸術文化政策研究や劇場運営研究といった芸術文化環境研究のあり方の検討
*芸術文化政策の展開や公共劇場運営の新たな試みなど芸術文化環境に関する最新状況の把握

(2) 活動
●研究会「シンクタンクにおける芸術文化政策研究」(9月12日)
講師:太下義之氏 (UFJ総合研究所 主任研究員(芸術・文化政策センター長))
劇場などの文化施設の計画や評価、芸術文化産業の実態把握、関連政策の調査や提言など、芸術文化政策に関わる調査・研究・実践は、大学のみならず、シンクタンクにおいても盛んに行われ、蓄積されてきている。しかし、文化政策やアートマネジメントを学び研究する者にとって、シンクタンクの活動やその成果になかなか触れる機会がないのも実状である。 本研究会では、シンクタンクでは実際にどのような調査や研究が行われており、どういった方法がとられ、成果が得られ生かされているのか、実際の現場の問題を解決していくためにどのような知見が必要とされているか、どういった調査の需要が多いのか、シンクタンクの可能性と課題とは何か、といったことについて、太下氏に発表していただいた。

●研究会 「劇場・ホールの現在進行形」
劇場・ホール等の舞台芸術の創造から上演に至る様々な活動を行うための施設は、いま大きな転換期を迎えている。特に、指定管理者制度の施行やアートNPOの活躍など、公立文化施設の運営は新たな可能性を獲得しつつある。現在進行中のプロジェクトを通して、劇場・ホールを取り巻く新たな動きに着目した研究会を連続して開催する。

第1回「芸術創造都市をめざす横浜市の取組み」(2003年11月26日)
講師:野田邦弘氏(横浜市都市経営局政策課(文化芸術・観光振興による都心部活性化担当))
「芸術文化創造交流特区」によって芸術創造都市をめざしている横浜市の事例を取り上げる。具体的な内容を紹介いただき、芸術文化とまちづくりとの関係を研究する。

第2回「吉祥寺シアターの遥かなる挑戦」(2003年12月3日)
講師:恩田 秀樹氏(武蔵野市企画政策部企画調整課)、佐藤 尚巳氏(株式会社佐藤尚巳建築研究所)
武蔵野市では吉祥寺東部地区に吉祥寺シアターを建設し、芸術文化振興と新たなまちづくりに取り組んでいます。その具体的な内容を紹介していただき、芸術文化とまちづくりとの関係を研究したいと考えています。


第3回「葛飾区文化国際財団の経営改革」(2003年12月10日)
講師:今関 総一郎 氏(財団法人葛飾区文化国際財団事務局長)
葛飾区文化国際財団では平成11年度より財団経営の抜本的な改革に取り組み、施設総合管理委託、業績評価、人事評価などの新たな制度を導入しました。こうした一連の改革について、その理念や具体的な内容、効果などを紹介いただき、これからの公立ホールの経営の在り方について研究したいと考えています。

公開研究会「なぜ、アーティストを支援するのか」(2004年3月23日)
講師:バーバラ・コートニー氏( アーティスト・トラスト エグゼクティブ・ディレクター(米・シアトル))
日本では1990年代以降、アートに対する支援が次第に拡充されてきたが、何のためにアーティストを支援するのか、というテーマについて、まだまだ充分な議論が行われているとは言いがたい。今回の研究会では、アートと地域コミュニティとの関わりに焦点を当て、アーティストを支援することはどういう意味を持つのか、
アートによる社会貢献はどのように可能か、などを、アーティスト・トラストの活動に即してその理念と実際を語ってもらい、現代社会におけるアートの役割と意義を探る。本研究会はSTスポット横浜のご協力により実現しました。

4. その他
上記のほかにも、日本各地の劇場資料の収集・整理・閲覧、昨年度に実施した研究会の内容を掲載した冊子の作成なども行っている。

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