Excelによって行列計算を行うことができる。ここでは、その方法を説明する。Excelでは配列は配列数式と呼ばれ、演算は行列と異なる。したがって、配列を行列として扱うには数学関数を呼び出す必要がある。

という行列をExcelに入力する方法をまず説明する。そのためには、下図のように、B2:C3を選択して、={1,2;3,4}と入力し、Ctrl+Shift+Enterにより決定する:
単にEnterで決定しないことに注意されたい。同様に行列Bをつぎの図のように入力する:

実際には、Ctrl+Shift+Enterにより決定された”もの”は「配列数式」と呼ばれている。名前も行列と異なるが、演算も行列とは異なる。MATLABを知っている人ならば、演算がドット演算になるといえばお分かりになると思う。以下、これについて説明しよう。
A+Bの計算には、まず、答えを書き込む範囲を指定する。下図においてはB6:C7を選択した。そして、Aの範囲を選択し、つぎに+を入力、更にBの範囲を選択し、Ctrl+Shift+Enterとする:

するとつぎの演算結果を得る。

A−Bは+を入力していたところを-にすればまったく同様に計算できる。
配列数式の積はどうなるであろうか。

と*を使うと、配列数式の対応する成分ごとの積になっている。これはMATLABのドット積に対応する。すなわち、要素ごとの積となる。
行列AとBの積ABの計算の仕方を説明する。

答えを書き込む範囲をまず選択する。上の図ではE6:F7である。そしてfxをクリックして、数学/三角を選択し、MMULTを選ぶ。そのときに現れるボックス

の配列1には行列Aを記述した範囲を指定し、配列2には行列Bを記述した範囲を指定する。そして、Ctrl+Shift+Enterで決定する。
行列Aの逆行列を計算するにはつぎのようにする。まず、答えを書き込む範囲を指定する。下図においてはB6:C7を選択した。そしてfxをクリックし、更に数学/三角を選択、更にMINVERSEを選ぶ。そして、現れるボックスにおいて、逆行列を求める配列を選択する。今の場合は行列Aが書き込まれているB2:C3を選択した。そしてCtrl+Shift+Enterで決定する:

逆行列の応用として、連立一次方程式の解を求めてみよう。つぎの連立一次方程式を考えよう:

係数行列をAとする。右辺のベクトルをbとする。Excelで解くにはつぎのようにする(simu.xls):

ただし、
である。
重要な注意 数値計算においては連立一次方程式の解を逆行列を求めてから計算することは常識はずれである。通常は、ガウスの消去法やLU分解を求めてから計算する。なぜなら、逆行列で求めるのに比べて3倍の速度で計算できる上に安定性や信頼性の面でも有利となるからである。また、クラメールの公式で解を数値計算することはしない。クラメールの公式は正しいが、計算の手間が異常に多くなるからである。詳しくはIT入門B2で習う。
つぎの連立一次方程式を解け:
©大石進一
2002/9/29(作成) 、2002/10/6(追加)