社会科学部
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現実社会への実践的なアプローチ…『臨床』 大学で学ぶことは、教科書や文献から得られる知識だけではありません。『活きた社会科学』を身につけるためには、そのような知識だけではなく、実社会の現場に赴き、様々な問題に直面する人々や、幅広い活動を目の当たりにすることで、客観的ではない事実を知ることも必要です。そのような現場で当事者と一緒に問題解決に向けて考え・行動することで実践的な能力を養うことができます。 社会科学部では、国内外の様々なフィールドで実体験しながら学べる授業を用意しています。フィールドワーク授業参加学生の声 (三橋 美希) このゼミナールでは、世界経済の動きについて分析を行います。分析内容の報告は海外で行います。近年はハンガリーのブダペスト・コルビヌス大学とエドゥタス大学で実施しました。現地の教員や学生と活発な意見交換を行うことで、国際的に活躍するための実践的経験を重ねてきています。また、ゼミナールで取扱うテーマについては理論的側面と実証的側面の両方からアプローチしています。ミクロ・マクロ経済学や計量経済学の基礎を固めたうえで、ゼミ生が各自で選んだ研究テーマに関する現場のデータを見つけ出し分析します。その内容は互いに発表をし合い、質疑応答によって理解を深めています。 弦間ゼミでは、4年次の卒論の執筆に向け、2年次にミクロ、3年次にマクロ経済の概要に触れます。ゼミの名前こそ漠然としていますが、各々が興味関心のある経済分野の調査研究を進められ、弦間先生から一人一人丁寧に指導を受けられる点がゼミの醍醐味です。 年に1度のゼミ合宿は、毎年ハンガリーで行います。コルビヌス大学で、グループ又は個人で1年間の研究の成果を発表し、学生や先生方と議論します。公開授業の形で行われるため、大勢の学生から思わぬ質問が飛び出し緊張しますが、コルビヌス大の学生の発表を通じて新たな発見もあり、とても刺激的です。言語は違えど、討論を通じ、同じ学問分野で共通の認識を自分たちで得ることの充実感を感じました。フィールドワークでは、東欧に進出している日本企業の最前線の現場である、現地の事務所や工場を見学します。現地に駐在されている日本人の社員の方をはじめ、各国から集まった社員の方々の仕事に対する情熱、緊張感や迫力を肌で感じられる貴重な経験でした。ゼミナール(農村デザイン研究)准教授 落合 基継 ゼミナール(世界経済の研究)教授 弦間 正彦 農村デザイン研究は、「農村地域における課題の発見・解決の学問」です。つまり自然科学から社会科学にまたがる学際的な学問分野となります。農村地域では、過疎化・高齢化・コミュニティの弱体化・耕作放棄地の増加等の多くの課題があります。これらの課題に対して、社会(コミュニティ、地域文化、交流など)・環境(自然環境、景観、土地利用など)・経済(農林水産業、観光など)・制度(法律、事業など)等の多様な側面からの複合的なアプローチによる、地域の現状把握、課題の発見、解決方法の検討、地域でのアクションなどが必要です。農村デザイン研究ゼミナールでは、実際の農村地域(山形県大蔵村四ヶ村地区など)を調査対象として現地に通い、地域の関係者と話し合いながら、地元の本当の課題とはなにか、そしてその解決にはなにが必要か、などについて実践的に取り組み、その中から研究のシーズの発見と分析・考察作業を展開し、対象地域への還元を目指して活動しています。参加学生の声 (大島 尚城) 落合ゼミでは、農業、集落、環境、食文化、6次産業、観光の6つの観点から山形県にある大蔵村という集落の再生に取り組んでいます。村の再生をお手伝いする上で最も大切だと考えるのはその土地にあった提案を考えていくことだと思っています。そのためには村の現状をよく理解しておくことが必要でした。落合ゼミでは定期的に実地調査を行っています。これまでの実地調査では実際に大蔵村に訪れ、村で生活する方々に聞き込みを行い村の暮らしや自然を体感することでデータや写真を見るだけでは分からない正しい村の姿を理解することに努めてきました。苦労したのはこちらの疑問を村の誰にどのように伺い、まとめればよいかということです。こちらの聞きたいことに望んだ形で答えが返ってくるとは限らず、また聞き込みでした話も整理し直す必要があります。しかしインターネットで得られる整理された情報よりも実際に聞き込みで得られる生きた情報というのは村で生活している方々の様々な目線が入っておりミクロな視点で村の姿を見ることができるので、むしろ村の現状や課題が浮き彫りにしてくれることがありました。そうした中に実践的な学びの面白さを感じさせられる一年でもありました。来年度以降はそういった調査で浮き彫りになった課題に対して大学生らしい自由な発想と都市部にすむ自分たちよそ者の視点を大切にしながら解決に向けた取り組みを考えていこうと思います。011

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