社会科学部
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現実社会への実践的なアプローチ…『臨床』参加学生の声 (4年 大塚 広志朗)参加学生の声 (4年 菊池 雄一郎) 大学で学ぶことは、教科書や文献から得られる知識だけではありません。『活きた社会科学』を身につけるためには、そのような知識だけではなく、実社会の現場に赴き、様々な問題に直面する人々や、幅広い活動を目の当たりにすることで、客観的ではない事実を知ることも必要です。そのような現場で当事者と一緒に問題解決に向けて考え・行動することで実践的な能力を養うことができます。 社会科学部では、国内外の様々なフィールドで実体験しながら学べる授業を用意しています。フィールドワーク授業  地域には様々な課題があります。その課題解決には「コミュニティの力」が必要ですが、今の日本ではコミュニティが崩壊してしまっている地域が多数存在します。そこで、このゼミナールではゼミ生が4つの地域(宮城県名取市閖上地区、静岡県松崎町、東京都世田谷区、東京都練馬区)で、行政と住民の方々と話し合いながら、課題解決とコミュニティづくりのお手伝いをしています。特に近年は、子ども達といっしょに進めるまちづくりプロジェクトを提案して、実践しています。 現代の企業で活発に取り組まれるマーケティング戦略をより実践的に学ぶために、企業の協力を得て現実的で深みのある研究を、当ゼミナールでは行っています。まず、ご協力いただく企業の方から年間の研究テーマに関する説明をいただき、それにそって5つのグループに分かれて調査、分析を行います。この研究プロセスでは、既存の文献や資料の渉猟・検討はもとより、マーケティング・リサーチやフィールドワークなどを積極的に実行しています。実際、オリジナルTシャツの製版、印刷のワークショップに取組み、消費者のニーズに寄りそった製品やプロモーションなどを戦略的に思考することで、マーケティング・マインドを向上させてきました。このような活動は最終的に研究報告書としてとりまとめ、成果発表会の場で企業の方々の前でプレゼンテーションをしております。当ゼミナールでは、単なる知識習得にとどまらず、実践的なマーケティング戦略の提案力を養うことを目標に日々取組んでおります。ゼミナール(都市・コミュニティデザイン)教授 卯月 盛夫 ゼミナール(マーケティング管理研究)教授 野口 智雄  私の班は東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市の閖上公民館の再建のお手伝いをしています。 瓦解してしまったコミュニティ復活の一助となり、中高生の「居場所」が少ない閖上地区にとって公民館が利用しやすい施設になるよう議論を重ねています。主な活動としては、公民館でのイベントや中高生のみが使用できる空間設計・制度設計を閖上中学校の生徒と一丸となって取り組んでいます。 活動の上で一番重要なことは、人と人とのつながりです。これを築くことができないと活動は不安定になってしまいます。被災以後の複雑な地域事情や地域に対するマイナスなイメージが残る中、閖上を盛り上げようと奮闘する行政や住民の方とのコミュニケーションを大切にしています。住民の方が大切にしたいこと、震災の悲しい記憶、子どもたちの要望など会話の中から活動のヒントを拾い上げ、実現可能性として高いものを具体化することが活動の醍醐味です。2017年度は子ども達とも親密な関係を築くことができました。次年度からは再建に向け、一層活動を加速させていきます。 野口ゼミナールではマーケティングを基礎から応用まで実践的に学ぶことができる環境があります。2年次は、マーケティングの基本と研究方法をじっくり学びます。様々な理論についての活用事例を探索、分析して、学生同士で発表し合い、教授から総括的なコメントをいただくことで理解を深めます。 そして3年次からは、産学協同での実践的な研究を行います。昨年度は、印刷機メーカーのご協力を頂き、法人向けデジタルスクリーン製版機の直販による営業戦略を立案し、半期毎に企業の方々の前で提案発表を行いました。 インターネットや書籍での情報収集には限界があるため定期的に企業とコンタクトを取ったり、実際に企業に足を運んだりすることで製品や現場の理解に努めます。そこで課題を抽出した後、2年次に学んだ理論や事例を活かして戦略の立案を行っていきます。そして毎週教授の前で発表し、成果のまとめ方やビジネスマンへの発表の仕方など細かいアドバイスを頂きます。これを繰り返し、提案内容をブラッシュアップして、最終的に企業の方々の前で発表を行うのです。 この経験から様々な学びが得られました。1年を通してビジネスの現場を肌で感じるだけでなく、第一線で活躍している企業の方々と緊密なコミュニケーションをとりながら研究を進めることができ、学問としてだけでなく、ビジネス目線でマーケティングを学ぶことができました。これは、実践的な研究活動でしか味わうことのできない貴重な経験であったと考えています。 同時に、ゼミ内での研究発表だけでなく、企業の方々に向けての発表を経験する中で、社会人に求められるモラルやスキルを身に着けることもできたと感じています。11

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