理工学術院
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 狩猟社会にはじまり、情報社会へと進化してきた人間社会は、あらゆる情報が共有され、新技術によって人間の可能性が広がる新たな社会「Society 5.0」を迎えつつあります。この「Society 5.0」の実現には、膨大なデータの高速で高精度な処理や解析が不可欠で、次世代の高速計算機である量子コンピュータの活用が期待されています。ただ、研究が進んでいるさまざまな型の量子コンピュータには、それぞれ得意分野と不得意分野があります。研究では、それらの得意・不得意を補い合い、情報処理を高速化・高精度化できる仕組みの構築を目指します。実現すれば、工場、エネルギー、製薬などあらゆる産業の効率化が図れます。基幹理工学部情報通信学科 戸川 望教授 不要となった電気電子機器から異なる材料を取り出すには、高温で溶かしたり、精製したりとさまざまな方法がありますが、コストや環境への負荷が高く、実用的でない場合もあります。そこで、従来の方法より効率よく材料を分離できる「新規電気パルス法」の技術開発に取り組んでいます。これまでに、電気パルスの放電経路を細かく制御することで、リチウムイオン電池内部の物質を分けて外すことに成功しました。実用化すれば、さまざまな製品の材料の再利用が進みます。また、技術開発の過程でさまざまな材料の分離する仕組みを理解することで、より分解しやすい製品づくりや、資源の循環システムの構築にも役立てられます。創造理工学部環境資源工学科 所 千晴教授 化学技術分野では、従来必要となる物質を精製するために、高温での蒸留や、気体を低温で液体にしてから蒸留など、大きなエネルギーを使ってきました。世界的に脱炭素化が叫ばれる今、化学技術における省エネルギー化を進めるには、この分離のプロセスの革新が必要です。私たちの研究室では、無機材料であるゼオライトを薄い膜にすることで物質を分離できないか研究を進めています。1ナノメートル(10億分の1メートル)以下の小さな穴が規則的に並ぶ構造のゼオライトは、薄い膜にすると、さまざまな分子を選り分けることができます。従来の方法に比べて圧倒的に省エネルギーな手法であり、現在は産業界で実用化できるように研究を進めています。先進理工学部応用化学科 松方 正彦教授内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題研究委託先に選定本研究を進める早稲田大学・株式会社フィックスターズ・株式会社QunaSysの研究グループは、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期課題「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術:光電子情報処理」の研究課題に関わる委託先として選定されました。計算に対して最適なコンピュータを判断し提案入力計算A計算B1234情報収集・評価提案A→2B→1令和元年度 未来社会創造事業(探索加速型)の本格研究課題に選定本研究は、そのアイデアと実現可能性が評価され、私立大学で初めて国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「令和元年度 未来社会創造事業(探索加速型)」「持続可能な社会の実現」領域の本格研究課題に選定されました。アルミ箔正極活物質正極従来の電気パルス法で分離混合粉砕され分離できないアルミ箔と正極活物質を分離新規電気パルス法で分離リチウムイオン電池パックリチウムイオン電池2019年度 早稲田大学リサーチアワードを受賞早稲田大学では、大規模な研究を主導的に推進している研究者や国際発信力の高い研究業績をあげている研究者を表彰する「早稲田大学リサーチアワード」を設けています。本研究を主宰する松方教授は、大型研究プロジェクトの推進者として2019年度の受賞者となりました。ゼオライト膜の性質小さな分子のみ通り抜けて分離できる特定の分子を吸着し分離できるJ-19

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