理工学術院
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によって分析することがあります。そのときには、電磁気や電気機器だけでなく、数学の一分野である数値解析や、情報学の一分野であるプログラミングの知識が役立ちます。大学にいると、思いもよらない知識が専門分野で大活躍する瞬間に数多く立ち会えますよね。戸川 おっしゃる通りです。夢を追うには、専門分野をただ一直線に突き進むのではなく、その周辺にある分野の知識に“寄り道”しながら学ぶことも大切ですね。一見、研究とは関係のなさそうなことであっても、後で「学んでおいてよかった」と思うこともあります。そういった意味で、学んで無駄になるものはないと思います。菅野 ロボットを制御するにはコンピューターや通信が必要です。そして、それらを動かすのは電気エネルギー。私たち3人の専門分野に限っても、これだけつながる部分があるんです。物事を深く突き詰めようとすればするほど、視野は広く持ったほうがいいですね。若尾 今、これだけダイナミックに変わっていく世の中で研究をしようと思ったら、専門分野に閉じこもらずに広い視野を持つことは不可欠ですね。さらに言えば、理工系で完結せずに、政治・経済・文化などあらゆる分野と組み合わせることで、もっと新しい研究ができるのではないでしょうか。理工学術院で研究されている技術は、社会に実装されてこそ、私たちの生活を豊かにしていくものですからね。戸川 自身の体験もあって、学生の皆さんにはまず、あらゆる分野を学び、その知識を基に専門分野に進んでほしいと考えています。そこで基幹理工学部のカリキュラムは、まず1年生で数学、基礎科学など幅広い分野を学ぶように組んでいます。そして2年生になると、専門へ分かれていきます。菅野 基幹理工学部に対して、創造理工学部は、ある意味逆方向から学び始める学部といえるかもしれません。入学する時点で学科が決まっているので、学生は最初から、建築や機械など自分の学びたい専門分野に触れます。そして、モチベーションを高めつつ専門分野に必要な数学や物理などの基礎を学びます。さまざまな分野の学びが必要だという点は共通していますが、アプローチが異なります。若尾 先進理工学部は、先ほども話題になったコラボレーションが大きな特徴です。物理や化学、生命などを純粋に学ぶ学科に加えて、大学院ではそれらを横断して学ぶ学際型の専攻や、他大学と共同設置する専攻など、コラボレーションしながら学びを深める専攻が加わります。そこ夢に向かうための3学部それぞれのアプローチ戸川教授の夢音や画像が自在に送受信できる未来コンピューターに興味を持ち始めた頃に「できたらいいな」と思っていたのは、どこにでも誰にでも音や画像を自在に送れる未来でした。技術はあっという間に進歩して、当時の夢を追い越し、誰でも動画を配信できる世の中になりました。今夢見ているのは、人の代わりに何でも考えてくれるような、究極のコンピューターの実現です。12

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