理工学術院
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菅野 私も、今の研究の原点は中学生〜高校生の頃にありますね。当時は「宇宙戦艦ヤマト」などSFの世界にみんなが憧れていた時期で、私も例に漏れず大好きでした。そんな時に、故・加藤一郎教授が、簡単な会話や2足歩行ができる人間型のロボット「WABOT-1」を完成させたんです。世間で大きな話題となりましたし、SF好きの友達とともに、ワクワクしたことをよく覚えています。「将来、どんなことでも人間と同じようにできるロボットを作りたい」―そう思ったことが、夢への第一歩でした。若尾 私はお二人よりも漠然としていますが、「世の中のものはみんな電気で動いているから、電気について勉強すれば、先々すごいことに関われるかもしれない」と思って大学の進学先を決めました。その後、専門分野の学びを深める中で、環境負荷の少ないエネルギー社会という夢を具体的に思い描くようになりました。電気そのものは目に見えないのに、私たちの生活に密接に関わり、社会全体を支えています。そこが不思議で、惹かれたんだと思います。菅野 見えないところに魅力を感じたんですね。私は、目に見えるものを自分の手で作り上げるのが好きなタイプ。小さい頃からブロック遊びが大好きな子どもでした。ロボットを好きになるのは、当然だったのかもしれません。若尾 夢に向かって理工系の学問を突き詰める中で体感したのは、異分野とのコラボレーションの重要性です。例えば電気工学では、電気エネルギーの流れをコンピューター物事を突き詰めるために必要なこと基幹理工学部長・研究科長戸川 望教授Profile 早稲田大学理工学部電子通信学科卒業。同大学大学院理工学研究科電気工学専攻修了、博士(工学) 。2009年より同大学基幹理工学部教授。専門分野は情報通信学。大学院博士後期課程時代の戸川教授。学会主催のワークショップで研究奨励賞を受賞した。菅野教授の夢何でも人と同じことができるロボット料理をしてくれて、将棋で対局できて、おしゃべり相手になってくれる。そのような、何でもできるロボットが究極の夢です。将棋を指せるロボット、会話ができるロボットなど、それぞれの機能に特化したロボットは実現していますが、何でも人と同じことができるようにするためには、まだ多くの課題が残っています。研究人生を通じて追い続ける夢になりそうです。WABOT1970〜80年代、当時の早稲田大学理工学部では、故・加藤一郎教授が中心となって人間型ロボット「WABOT」の開発に取り組んでいました。1973年には、世界初のフルスケール人間型ロボット「WABOT-1」を、1984年には楽器演奏のできる「WABOT-2」を開発。菅野教授は加藤教授に憧れ、大学入学直後に研究室を訪ねました。WABOT-111

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