文学部シラバス2021
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科目名暴力と文学1文学のなかの戦争裁判/戦争裁判としての文学担当者名金ヨンロン文ジャ2単位春学期木曜日5時限1年以上―合併科目―授業概要本授業では、第二次世界大戦後に書かれた文学作品を扱います。いわゆる戦後文学です。戦争が終わり、戦争中に何をしたのかが厳しく問われました。戦時中の罪や暴力が様々なレベルで追及されたわけです。その最も代表的な形が、国際法による戦争裁判です。ドイツのニュルンベルク裁判や日本の東京裁判が有名ですが、そのほかにも世界各地で行われたBC級戦犯裁判があり、継続裁判がありました。法的拘束力はないけれども、民衆法廷もあります。このような法廷において、戦時中に行われた暴力が明らかにされたり、また明らかにされなかったりしました。そして隠蔽された暴力、問題にされきれなかった罪を裁きつづけるために、被害者たちの告発、戦争補償や戦後補償を求める訴訟はいまもつづいています。戦争をテーマに据えている戦後文学も、戦時暴力のなかで何が問題にされ、また何がいまだ問題にされなかったのかを問い続けてきました。その意味において、戦後文学にも継続裁判的な性格があるといえるでしょう。そこで、本授業では、戦後文学のなかでもとりわけ戦争裁判を描いたものを扱い、文学が、戦争の暴力をどのように告発してきたのか、を議論したいと思います。授業の到達目標第二次世界大戦後の文学を読むための基礎的知識を学ぶと同時に、戦後文学の意義を考える。成績評価方法試験0%試験は行いません。レポート70%中間レポート20%(2問、500字ずつ)、期末レポート50%(2000字)平常点30%授業での議論に積極的に参加してください。また、講義が終わってからコメントシートを書いてもらいます。その他0%科目名暴力と文学2沖縄文学における暴力の諸相担当者名我部聖文ジャ2単位秋学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要暴力と文学のかかわりを近現代の沖縄を描いた文学作品を読むことを通じて考えるのが本講義の目的である。沖縄の近現代文学史を近代期(琉球王国から沖縄県となった1879年の琉球処分〜沖縄戦)、米軍占領時代(1945〜1972年)、復帰・施政権返還後(1972年5月15日〜現在)という3つの時期に分け、各時期ごとの文学の特徴を解説した上で作品を読む。琉球処分後の沖縄が日清戦争や近代日本とどう向き合ったのか。また米軍占領下の沖縄で沖縄の人びとは、米軍基地から派生する暴力といかに対峙したのか。日本への復帰を経て、近現代の沖縄差別や沖縄戦の記憶をどのようにとらえ返したのか。そうした沖縄の人たちに突きつけられた暴力について、沖縄文学は多くの問いを開いていくだろう。授業の到達目標沖縄を描いた文学から暴力と文学一般の問題について理解し、自分なりに考察できるようになる。成績評価方法試験0%レポート70%講義を踏まえた上で、自分なりの議論ができているか。平常点30%毎回の講義を理解してコメントできているか。その他0%科目名中南欧の文学短篇か断章か̶タブッキとカルヴィーノを読む担当者名和田忠彦文ジャ2単位春学期木曜日3時限1年以上―合併科目2授業概要中南欧というとき、地図の上でどのあたりを思い描くでしょうか?この講義では、通常南欧として位置づけられるイタリア語圏の作品を手掛かりに、南欧と中欧ふたつの地域をつなぐ想像力のありようについて、短篇作品を読みながらそれらが生まれた同時代の状況をも視界におさめつつ考えていきます。まずさしあたり関心を寄せていただきたい作家は、ふたり。アントニオ・タブッキ(1943−2012)とイタロ・カルヴィーノ(1923−1985)です。なお、シラバスは授業中のみなさんの反応などにより適宜変わる可能性があります。授業の到達目標文学作品を読むこと考えることをとおして知ること見ることの閾値をひろげる.成績評価方法試験0%行いません。レポート70%授業中に指定する図書リストから一冊もしくは複数を選んで2800字前後で書いてもらいます。本を読んだうえで、自分の意見がはっきり出せていることを期待します。平常点30%授業時に質問などをしますので、レビューシートで答えてください。単なる出席というより、レビューシートを重視します。その他0%備考・関連URL現時点(112)ではリアルタイムオンライン授業を予定しています。COVID-19の状況によっては対面授業との併用も考えています。講義―91―

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