文学部シラバス2021
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自分という存在の変化に柔軟についていくので,結局は非常に厳密な実験的な方法ということになる。このような対象(自分を語るという試み)にふさわしい唯一の方法である(エーリッヒ・アウエルバッハ)。この演習では,最初に私がこの作品の成り立ちを解説し序章を精読してみる。そのさい16世紀のフランス語原文も参考にしつつ,日本語訳を用いる。そのあとで受講者が,全3巻(第1巻は57章,第2巻は37章,第3巻は13章ある)のうちから好きな章ないし部分を選択し,それを題材に好みのやり方で発表し(ハンドアウトやパワポなど作成要),受講者どうしで議論して解釈しあうという形式にしたい。そのためには翻訳でよいので,ぜひこの作品を手元においておいてほしい。モンテーニュの思想の深みを味わえればと思う。なお,状況によってはリアルタイム配信型の授業になるかもしれない。授業の到達目標1)16世紀フランスの作家のフランス語の文章でも,辞書さえあればさほど難しくないと思えるようになる。2)卒業論文のテーマを見つけるヒントが得られる。さらに言えば,この作品が一生の宝ともなる(本当です)。3)この作品にはいくつかの日本語訳があるが,その比較を行うことにより、翻訳という作業について自分なりの見解が得られるかもしれない。成績評価方法試験0%なし。レポート30%研究発表の機会のなかった受講生のみを対象とする。発表した者は以下の平常点評価を80パーセントとする。平常点50%モンテーニュのテクストを読むさいどのくらい準備してきているか。発表の充実度。授業に積極的に参加しているかどうか。とくに発表のあとに質問や疑問点や感想を述べてほしい。その他20%当然のことですが、出席することが前提。科目名フランス語フランス文学演習9(フランス語学1)フランス語で書かれた言語(哲)学文献を読む(その1)担当者名酒井智宏仏文コース2単位春学期火曜日3時限3年以上―――授業概要フランス語で書かれた言語(哲)学の文献のうち、文学や思想の研究にも役立ちそうな文献を選んで講読します。分野としては意味論(言語表現の意味を扱う分野)と語用論(言語表現が文脈中で伝える意味を扱う分野)が中心になります。いずれにおいても(語ではなく)文の意味を主たる対象とし、字義どおりの意味(significationlittérale)と言外の意味(significationim-plicite)の関係、およびともに言外の意味に属する含意(implication)と前提(présupposé)の性質の違いを考察します。初回の授業で意味論と語用論の基本概念を解説し、二回目からはグループ発表および討論を中心に進めます。授業の到達目標1.論理的に書かれたフランス語のテクストを読み解く技術を身につける。2.基本的な(フランス語と日本語の)言語学用語を身につける。3.言語によって伝えられる(ないし伝わる)意味の重層性を理解する。成績評価方法試験0%レポート50%学期末のレポートを評価対象とします。平常点50%出席・テクストへの取り組み・発表・議論への参加・グループワークへの参加・レビューシートを評価対象とします。その他0%備考・関連URL1.フランス語はもちろんのこと、日本語や英語ですら言語(哲)学の文献を読んだことのない方が大半だと思いますので、受講者の理解度に合わせてゆっくり進みます。おおむね一回につき1〜2ページの読解を予定しています。2.あわせて春学期開講語用論入門フランス語学概論および秋学期開講フランス語フランス文学演習14(フランス語学2)を履修するといっそう理解が深まるでしょう。科目名フランス語フランス文学演習11(フランス文化3)近現代フランスの美術と視覚文化を考える担当者名鈴木雅雄仏文コース2単位春学期月曜日4時限3年以上―――授業概要この授業では、近現代の美術や視覚文化について書かれた、フランス語の研究論文を取り上げていきます。論文1本につき2回の授業を使いますが、それぞれ1回目は訳読、2回目は論文の内容に関する学生の発表です。訳読ではその論文で重要と思われる箇所を指定し、決めておいた数人の担当者に訳文を用意してもらうことになるでしょう。この作業で論文の概要を把握したうえで、次の授業では担当者に論文全体の内容を要約するとともに、そこから出発した自分自身の考察を中心に、発表をしてもらおうと考えています。①扱う内容について:あまり限定的なテーマは設けず、マネ、セザンヌ、ピカソ、デュシャン等、19〜20世紀の重要なアーティストを論じた論文、写真や初期のマンガを扱った論文を用意します。②進め方について:参加人数によって進め方は変わる可能性がありますが、学期中に取り上げられる論文は6〜7本ですから、全員に発表してもらうのは難しいでしょう。それ以外の参加者は学期末に、扱ったテーマのいずれかに関するレポートを提出してもらうことになります。講読の訳文作成は、全員に1〜2回は担当がまわるようにします。授業の到達目標近現代の美術や視覚文化について、それぞれが関心の持てる画家やテーマを見つけ、単なる好き嫌いではなく、問題意識を持って語れるようになること、およびフランス語で論理的な文章を読む能力を高めることを目的とします。また同時に、文献の要約をするだけでなく、自分自身のアイディアを発表やレポートの形でまとめ、さらに他の発表者のアイ専門演習―471―

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