文学部シラバス2021
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て、強い責任感と覚悟を持って臨んでもらいたい。学術に誠実で、好奇心、探究心にあふれ、日々の地道な学習努力を怠らない、熱心で積極的な学生の受講を期待する。なお、研究発表の分担決めを行う第1回目の授業に正当な理由なく欠席することは、以降の授業スケジュールや他の受講生の発表準備に大きな支障が出るので、してはならない。また、受講者の人数により、15回の授業回数内で全員の発表が完結しない場合には、補講によって追加の授業を行う。科目名日本語日本文学演習5D(近現代文学)戦後の短篇小説を探求する担当者名橋本あゆみ日文コース2単位秋学期火曜日4時限2年以上―――授業概要春学期日本語日本文学演習2Dでは、日本近現代文学研究のための基本的な調査・分析方法と、研究報告のルールを身につけました。今度は、いわば研究の手引きという補助輪を外して、自分の力で小説を精読し、問題点を見つけ出す力を養います。その上で、各種の研究書、研究事典、目録・データベースなどを活用しながら、有用な先行研究を見つけ出し、十分な根拠を持って文学テクストに対する自分の読解と評価を報告できるようにします。この演習では、アジア・太平洋戦争後の短篇小説を主な題材に取ります。議論を円滑にするために、共通テクストとして岩波文庫日本近代短篇小説選昭和篇3を指定します(教科書欄を参照)。受講者からの要望があれば、この文庫に入っているもの以外も取扱い作品に加える場合がありますので(詩歌・評論も可)、第1回授業でぜひ申し出てください。その場合は、授業計画の一部調整を行いますので、予めご了承ください。日本近代短篇小説選昭和篇3に収録された小説群は、1950年〜60年代に発表されたものですが、その背後には未だ生々しい戦争の記憶と、現在進行形であった冷戦が同時に存在しており、さらには伝統文化や近世以前の歴史を語り直す欲望、マスメディアの発達など、さまざまなトピックスも横たわっています。発表者には、小説の言語表現や表象をきめ細かく読み解くことはもちろん、小説執筆当時の歴史・社会的背景や、先行研究での論点にも十分に注意を向け、春学期に学んだ文献調査方法を活かした説得力のある研究報告を期待します。授業の到達目標・文学テクストを、細部の表現や人物表象、歴史・社会的背景などに注目しながら主体的に読み解くことができる。・自分で設定した発表テーマに沿って発表に用いる方法論を決め、先行研究や参考文献(歴史学、社会学ほか文学以外の領域のものも含めて)を適切に集めることができる。・聞き手にとってわかりやすく、論の根拠を明確に示したレジュメ作成・プレゼンテーションができるようになる。・質疑応答で、発表者によって提示された問題をさらに深めたり、視点を広げることに繋がる、建設的な意見を述べられるようになる。成績評価方法試験0%行いません。レポート50%演習発表・議論を踏まえた内容の発展・充実の度合い、文献引用が適切な形式でなされているか等の観点から、総合的に評価します。平常点50%演習発表の内容・形式、議論(質疑応答)で建設的な指摘ができたか、問題意識を持って積極的に演習に参加できたかを、総合的に評価します。その他0%特になし。備考・関連URL春学期日本語日本文学演習2Dの応用編として授業を設計しています。極力、連続受講をお願いします。WasedaMoodleを用いて、演習に関する連絡の配信や、参考資料の公開を行う可能性があります。Webサイトへのアクセスや、配信メールの閲覧が問題なく行えるよう、環境を整えてください。科目名日本語日本文学演習6A(日本語学)明治期日本語の研究担当者名木村義之日文コース2単位秋学期金曜日5時限2年以上―――授業概要前期に引き続き、坪内逍遙一読三嘆当世書生気質を対象として、当期の表記、語彙および語法について調査し、考察を加える。明治前期に出現した書生という新しい知識階層を主人公とする本作品をていねいに読み、現代語との違いを理解しながら日本語学的な手法によって読み解いていくこととする。授業の到達目標(1)当世書生気質には、いくつかのテキストが存在する。初出本文と後に出版された本文とを注意深く観察し、その異同を確認する。(2)明治以降、日本語の漢語は激増し、漢語が日本語の中で果たす役割、位置は大きくなる。漢語の中には、中国語で使われた意味を保持するもの以外に、明治以降に出現し、使用される漢語は新漢語と呼ばれ、近代日本語の中で、日本語としての意味を獲得したものや、日本で造語したものなどがある。そのような漢語の意味や用法は現代語と異なる様相を呈している。また、書生たちが用いる外来語・外国語も多い。このような語彙の調査にあたって、必要となる文献・辞書の取り扱いを学ぶ。(3)本作品はほぼ総ルビであるが、漢字表記とルビがどのような関係で対応しているのかを理解する。(4)本作品の会話部分に注目し、否定・推量・条件などといった文法的カテゴリーからの観察、対人配慮表現の観点から見た指示命令・感謝・謝罪などの表現の観察を、現代語と比較しながら行う。これらのことを通じて、日本語学的な文字テキストの扱いを習得し、言語実態をさぐる方法論を身につけることができる。成績評価方法平常授業への参加態度:出席日数が三分の二に達しているか、調査、発表を通じて、資料の性質をどの程度理解しているかを評価する(20%を目安とする)。授業内での分担発表:調査の広さ深さを評価する(40%を目安とする)。専門演習―448―

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