文学部シラバス2021
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その他0%なし備考・関連URLサンスクリット文法を多少勉強したことがあり、文献講読に興味を持つ人であればどなたでも歓迎します。文法はこれからという人は、初級サンスクリットやサンスクリット基礎講読の授業をあわせて受講することをお勧めします。授業はZoomによるリアルタイム配信で行います.詳細についてはWasedaMoodleアナウンスメントまたはCourseNaviお知らせに告知します.科目名古典ギリシャ文学ギリシャ・ローマ文学の中のテーマとしてのエロス・・ギリシャ的愛担当者名宮城徳也共通2単位春学期無フルOD1年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要本授業は全回オンデマンド授業として実施します。本年度はエロスをテーマとし、春期科目の古典ギリシャ文学では、プラトンの哲学作品饗宴(シュポシオン・・一緒にシュン、酒を飲むことポシオンの意味で、シンポジウムという日本語の語源です)で話題となった様々なエロス(性愛とその寓意としての愛の神)像と、ソクラテスが報告する上昇する階梯としての愛の秘儀を考察した後、ホメロスの欲望、ヘシオドスの宇宙生成原理など叙事詩に見られるエロス、女流詩人サッポーなどの抒情詩に見られる愛とその展開を考えます。トロヤ戦争の直接の原因はスパルタの王妃ヘレネに対するトロヤの王子パリスの不倫の愛でした。トロヤ戦争を背景とするホメロスの叙事詩イリアス、オデュッセイアに様々な愛の思想が見られるのは当然のことでしょう。ギリシア語で愛を表す語として、エロス(性愛)、ピリア(友愛、親族愛)、アガペ(キリスト教的愛)があるのは良く知られていますが、エロスについて考えるには少なくともピリアに関する理解も必要で、アリストテレスのニコマコス倫理学などに見られる愛の分析を参考に、ピリアとの対比からプラトン的エロス像を浮き彫りにし、ギリシャ的愛の本質を考察します。最終的にはそうした思想としての愛の影響が文学作品のどのように反映し、一方でどれほどの乖離が見られかも分析することを目標とします。ギリシャ文学に関しても、常にラテン文学との対比を意識します。教科書によって、ギリシャ文学からラテン文学への流れが、後世のヨーロッパ文学に大きな影響を与えたことを理解できることを目指すからです。授業の到達目標エロス(愛)をキーワードとして、古典ギリシャ文学の概要を理解する。成績評価方法試験70%毎回小テストを行ない,その平均点を基礎に成績を評価します.レポート0%レポートは課しません平常点30%毎回,授業の要約と感想(200字程度)の課題提出を求め,平常点として評価します.その他0%試験(小テスト形式)と平常点(課題:要約と感想)のみで評価します備考・関連URL関連URL:http:www.f.waseda.jptokuyamindex.htm科目名古典ローマ文学ギリシャ的愛のローマ文学的展開担当者名宮城徳也共通2単位秋学期無フルOD1年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要本授業は全回オンデマンド授業として実施します。古典ローマ文学は紀元前3世紀から、紀元後5世紀くらいまでラテン語で書かれた文学作品を扱いますが、この時代にはギリシャ語でも文学作品が書かれ、ラテン語作品もギリシャ文学の影響を抜きにしては考えられません。本授業では、ローマ文学の中心ではある、叙事詩、演劇、恋愛詩をモデルとなったギリシャ文学と関連させながら、紹介します。本年度はエロスをテーマとし、春期(前期)科目の古典ギリシャ文学では、プラトンの哲学作品饗宴のエロス論を出発点に、叙事詩に始まる古代ギリシャ文学の中のエロスを分析して、ギリシャ的愛に関する基礎知識を得ました。秋期(後期)科目である古典ローマ文学においては、このような思想が、言語を異にするローマ文学でどのように展開したかを考えます。エウリピデスのメデイアの主人公メデイアは裏切った夫イアソンへの復讐のために愛しいわが子たちを殺してしまいますが、この二人も出会ったときはエロスの神に祝福された幸せなカップルでした。その物語を描いたのが、前3世紀ヘレニズム時代の叙事詩アルゴ船物語ですが、この作品に見られるヘレニズム文学の特徴を指摘しながら、エロスが女性に及ぼす作用、恋におちる女性というモティーフを文学史を踏まえながら考察します。このモティーフは都市の洗練された世界文学としてのヘレニズム文学の特徴とともに前1世紀後半のローマの大詩人ウェルギリウスの叙事詩アエネイスの第四巻に引き継がれます。ここに描かれたディドーの悲恋は後のヨーロッパの絵画、音楽の主題となって、後世の文化に大きな影響を与えました。ウェルギリウスの作品としてはアエネイスの他に、牧歌と農耕詩があります。これらの作品がいかにヘレニズムの精神に満ちていながらローマ的独創性を発揮したものであるかは、授業で紹介しますが、牧歌に活かされた恋愛詩のモティーフ、農耕詩に取り上げられたオルフェウス伝説を分析することによって、彼の恋愛思想の背景にエピクロス哲学があることがわかります。エピクロスの思想をストア哲学などと対比しながら紹介して、ウェルギリウスのエロス観への影響を考察します。授業の到達目標ギリシャの影響を受けたエロス(愛)の思想が、古代ローマでどのように展開したかをヒントにして、後世に大きな影響を与えた古典ローマ文学の概要を理解する成績評価方法試験70%毎回小テストを行ない,その平均点を基礎に成績を評価します.レポート0%レポートは課しません平常点30%毎回,授業の要約と感想(200字程度)の課題提出を求め,平常点として評価します.講義―32―

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