文学部シラバス2021
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備考・関連URL当然のことながら、受講者にはフランス語の基礎的な読解能力が求められます。科目名フランス小説フランス小説を代表する小説家を読む担当者名芳川泰久仏文コース2単位春学期木曜日2時限3年以上―合併科目―授業概要フランス小説の歴史のなかで、近代小説を確立したバルザック、小説技法を一新したフローベール、現代小説への扉を開いたプルーストの主な仕事を取り上げ、その意義について考える。90篇近くの作品を残したバルザックについてrは、その全体像をテクスト論のかたちで語り、フローベールについてはボヴァリー夫人に焦点をあて、やはりテクスト論のかたちで語る。プルーストについては、失われた時を求めてを中心にどのような問題点が提起されているかを論じる。三者三様の姿が、それぞれ様相の異なるテクスト論として展開できればと考える。基本的に対面授業だが、3回ほどオンライン授業をする予定である。授業の到達目標フランス小説の重要な展開点をそれぞれ取り上げるが、それらがどのようになされたかの理解を深めると同時に小説テクストの解読方法の一端に触れる。また、対面授業での理解を深めるため、それぞれの小説家について論じたあと、課題を設けるが、そのときは解題の説明から解説、さらには質問と応答をZoomをつかったオンラインで行なう予定だが、詳しくは教場で伝える。成績評価方法試験0%試験は行なわない。レポート0%レポートは出さない。平常点50%授業への参加や発言、さらには質問等への応答から総合評価する。その他50%課題を3つ用意するが、その内容と提出回数を総合的にみる。備考・関連URL受講者には、できるだけ取り上げる小説家の作品に触れていることが望ましい。また、取り上げる小説家以外に、フランス小説の流れについての知識があれば、取り上げる小説家の成し遂げた意味がよくわかると思われる。科目名フランス思想デリダゲシュレヒトIIIを読む担当者名藤本一勇仏文コース2単位秋学期月曜日3時限3年以上―合併科目―授業概要フランスの哲学者ジャック・デリダのゲシュレヒトIIIを読解しながら、彼の脱構築思想を分析する。テクストや言葉は多種多様な逃走線から織り上げられたものである。したがって、デリダのテクストを読むにも、そこにどのような歴史や政治的・経済的・文化的なコンテクストが絡まり合っているかを解きほぐしていかなければならない。本講義では、哲学史、政治史、経済史、科学技術史、芸術史、等々の多数の織り糸のなかにデリダの言葉(=事の端)を置き直し、その現代的な、さらには未来的な意義を探る。そうした思想的な解明作業から、デリダの思想がもつ普遍的な価値を浮かび上がせる。*本講義は対面方式でおこないます(Covid-19の状況によってはオンラインやオンデマンドに切り替えたり、併用することもあります)。授業の到達目標デリダ思想の全体像を理解し、それがどのような歴史的な背景と現代的な意義をもつかを理解する。成績評価方法登録者数によって変わる。40名以内ならレポート、それ以上なら理解度の確認の試験を行う(Covid-19の状況によっては、試験ができないので、レポート)。出席点は参考程度。詳しくは最初の授業のときに説明する。科目名フランス文学の現在フランス文学と映画担当者名梶田裕仏文コース2単位春学期月曜日5時限2年以上―合併科目―授業概要本講義では、映画との関係を通じて、20世紀以降のフランス文学について考えます。映画と文学の関係は、決して平和的なものではありませんでした。文学者はしばしば文学作品の映画化に敵意を示し、映画監督はそれを映画の文学への従属と捉えました。しかし、映画の黎明期において、文学者が映画に見出した可能性は、決して文学作品の映像化ということではありませんでした。前衛的な作家たちは、映画がもたらす新たな知覚の可能性に関心を寄せていました。そしてトーキーの登場以降、映画が次第にただ物語を視覚化するための装置となり果てると、彼らは映画に対する失望を表明しました。しかし映画の方でもまた、イタリアのネオリアリズモやフランスのヌーヴェルヴァーグによって、物語に対する従属から映画を解放することが試みられていくことになります。ここから、文学と映画の間に、文学作品の映画化という枠には収まらない関係を描くことができるようになります。フランスの映画批評家であるアンドレ・バザンは、映画と文学の間に、根深いところで共有された美学的条件や芸術と現実との関係についての共通した見解を早くから読み取っていました。哲学者のジャック・ランシエールもまた、映画は文学の後に来ると言うことによって、映画と文学が同じ芸術的体制に属していることを明らかにしています。この授業では、文学と映画の間にある。影響や翻案にとどまらない共鳴関係を明らかにし、この共鳴関係から、文学作品の映画化(文学という言語芸術の体制を代表するボヴァリー夫人の様々な映画化、ブレッソンによるベルナノスの作品の映画化、タル・ベーラによる倫敦から来た男の映画化)、作家と映画監督との共同作業(アラン・レネとデュラス、ロブ=グリエ)、作家による映画制作(デュラス)などについて考察したいと思います。講義―202―

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