文学部シラバス2021
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一歩一歩思考を進める楽しさ、思考の途中式を丁寧に書き出すことの重要性をこの講義で身につけていただきたいと思います。科目名フランス語史クレチアン・ド・トロワのイヴァンまたは獅子の騎士(1170年ころ)を題材にして担当者名瀬戸直彦仏文コース2単位春学期金曜日5時限2年以上―合併科目―授業概要現代のフランス語はどのように成立したのだろうか。文法体系と語彙の多くはラテン語を継承している。しかし,それはどのような過程を経ているのだろうか?ラテン語について簡単な解説をほどこしてから、西欧各地でそれが変化し、ロマンス語(フランス語、オック語、イタリア語、スペイン語、カタロニア語、ポルトガル語、ルーマニア語、サルディニア語など)へと変貌していくさまを、ガリアの地域を中心に概説する。あわせて、13世紀の文学作品を読むことにより、フランス語の古い姿に接して,現代のフランス語への変化を知る機会を作りたい。具体的には、1170年ころに成立したといわれる古フランス語によるイヴァンまたは獅子の騎士(クレチヤン・ド・トロワ)を,とくに史的言語学の視点から読み解く作業を,受講者とともにおこなう。テクストの解読は初歩から始めるので安心して受講してください。最初数回は教員がフランス語史について講義を行うつもりだが,途中から一コマの後半を使ってテクストを受講者と一緒に読んでいく。担当者(希望者ないしは指名した者)はパワポなり資料なりを提示して自由な仕方で発表してもらえればと思う。[注意](1)フランス語の歴史であるから,フランス語既習者が登録すること。なおラテン語や他のロマンス語を学習していれば、興味はより増すことであろう。(2)テクストとして用いる写本はプリントして配布するつもりだが,フランス国立図書館(BnF)のサイトGallicaからカラーの美しいデジタル版を参照できる。なお対面式の授業を予定しているが,状況によっては,リアルタイム配信型の授業になるかもしれない。授業の到達目標フランス語の史的変遷を理解して、その語彙と文法の特徴を知るとともに、フランス語を正確に読むための仏仏辞書の使い方を学ぶ。とくにインターネットで簡単に参照できるDECT(DictionnaireélectroniquedeChrétiendeTroyes),DMF(Dictionnairedumoyenfrançais)をじっさいに教室で(あるいは各自のPCにおいて)一緒に参照して,使い方に慣れるようにしたい。成績評価方法平常点科目名フランス文学史1中世から19世紀まで担当者名川瀬武夫他/瀬戸直彦/O.デュスッド仏文コース2単位春学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要どの言語による文学も豊かな歴史を持っているはずだが、フランス文学の魅力はそのなかでも際立っているように思われる。英文学ならシェイクスピア、ドイツ文学ならゲーテ、スペイン文学ならセルバンテス、イタリア文学ならダンテと、フランスの周辺にある国々を例にとると、それぞれに代表的な文学者がいるものである。だが、フランス文学ではその代表が見つけられない。代表的な文学者がいないのではなく、多すぎて絞れないのである。それほどまでに豊穣なこの文学をひとことでいえば、繊細にして洒脱、深遠かつドラマティックな大人の文学といえるかもしれない。その内容と歴史的な流れを、中世から始めて近代=現代性の成立する19世紀末まで、それらの時代ごとの社会的・文化的な背景に留意しつつ、できるだけ分かりやすくたどってみる。無味乾燥な講義は避けて、受講者が積極的に参加できるような、また紹介された作品を是非とも読んでみたいと思うような、そのような授業にしてみたい。3名の専任教員が各人の専門分野を生かして、時代順にリレー方式で5回ずつ講義をおこなう。時代の分担は以下のとおり―瀨戸直彦:中世(842年)から16世紀までオディール・デュスッド:17世紀から18世紀まで川瀬武夫:19世紀*本授業は全回オンデマンド授業として実施します。授業の到達目標秋学期開講のフランス文学史2とあわせて受講すれば、千年以上にわたってフランス語という言語で書かれてきたフランス文学についての必須の知識が確実に得られることを目標とする。成績評価方法試験0%レポート70%春学期末に授業内容の理解を確認するためのレポートを課す。平常点30%レポート評価に平常点(出席状況、レヴューシート提出状況等)を加味する。その他0%―科目名フランス文学史2フランス文学にとっての20世紀担当者名鈴木雅雄他/佐々木匠/藤本一勇仏文コース2単位秋学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要フランス文学史1のあとを受けて、20世紀においてフランス文学(および思想)がいかなる課題を負い、いかなる変貌を遂げたのかを概観する。まずは小説というジャンルをとおして20世紀文学の流れを総括する。その流れが世紀を超えた現在に投げかける問いとインパクトについても考えていきたい。次に、しばしば同時代の文学的前衛を代表していたとみなされるフランス現代詩のさまざまな動向を、20世紀における文学講義―200―

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