文学部シラバス2021
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科目名学校教育学地域と学校担当者名細金恒男教育コース2単位春学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要子ども・若者の成長と、教育の存続にとって、〈地域〉のささえが大事であるということに関しては、おそらく誰にとっても異論がない。しかし、そこでいう〈地域〉とはどのような意味をもつのか、あるいは教育の存続や人間の成長をささえる〈地域〉とはいったいどのような要件からなるのかということについて、共通理解があるわけではない。戦後日本の地域史にはつねに、近代化、工業化を普遍的価値とみて開発を進める側と、風土と民衆の生業のもつ個性的価値をまもろうとする側との相克があった。開発や近代化の必要を唱える中央や支配層の側からみた〈地域〉とは、経済成長のための対象手段としかみなされてこなかった。戦後日本の学校もまた、近代化の先鋒をになわされたため、〈地域〉とは学校教育をささえる条件か、啓蒙の対象としてしかみなされてこなかった。これにたいして、民衆のことばとして〈地域〉を掲げてきた人びとの論理には、自然と人間と文化とが融合された土着の響きがあり、その個性ある自然と人間と文化とからなる価値としての地域を断固としてまもり育てようとする気迫がある。自然と人との結びつきは、生業としての農によってまもられ、そこから文化が紡がれてきた。そうした維持可能な地域づくりのうえに教育を築くことが求められている。上記の観点を持ちながら、この講義では、戦後日本の〈地域と学校〉の関係について再検討する。なお筆者は、東日本大震災と原発事故以来、福島県相馬・双葉地域の避難自治体と避難先で再開された学校への調査をつづけてきている。原発避難が地域と学校の営みにもたらした困難と、その困難に立ち向かい苦闘をつづけているさまざまな人びとの姿を、本年度の講義のなかでも紹介していきたいと考えている。この講義はフルオンデマンド形式で行う。毎回の講義映像の配信に合わせて、講義レジュメならびに講義関連資料(PDF版)を配信する。配信後、一定期間内に、上記ビデオ、レジュメ・資料を視聴・閲覧できているかによって出席確認をする。授業の到達目標講義全編をつうじて伝えたいメッセージを一言で表せば、地域あっての学校、学校あっての地域という思いである。都市に住む人間の感覚からは縁遠いかもしれないが、とりわけ農山村社会に息づいてきたこのことばの含意を理解してもらえればと思う。成績評価方法試験0%なしレポート70%講義内容の理解度を確認するためのレポートを、第7回講義終了後と第15回講義終了後の前後2回に分けて提出してもらいます。平常点30%出席状況を評価します。3分の2以上の出席を必須とします。その他0%なし科目名比較・国際教育学(教育改革の視点とその方策)担当者名山西優二教育コース2単位春学期木曜日2時限2年以上オープン科目合併科目―授業概要比較教育または比較教育学とは、比較研究や外国研究を通して、自他の教育の特性を把握し、教育の法則性・規則性を探究し、国内外の教育改革に寄与・貢献することをねらいとする研究領域である。また最近では、いわゆる国際化・グローバル化が進展する中で、異文化にまたがって生きる子どもたちにとっての教育のあり方や地域での多文化化・多言語化への対応、開発問題・環境問題・人権問題・民族紛争などの地球的諸問題の解決をめざす教育のあり方などを問う国際教育という領域を含めて、比較・国際教育学と称せられることもある。本授業では、このような比較・国際教育学的立場から、近代以降、特に戦後にみる世界の教育改革の動向を読み解きつつ、各論として、識字・生涯教育などのテーマをとり上げ、具体的に教育改革の視点やその実現に向けての課題・方策について論じることを目的としている。授業の到達目標本授業は、単に知識を獲得することではなく、参加者が世界の教育改革の動向を読み取る力と、識字・生涯教育などの具体的テーマに即して、教育改革への具体的な視点や方策を描き出す力を身につけることを目標としている。成績評価方法試験0%試験は実施しないレポート80%中間教場レポート・最終提出レポート平常点20%授業参加その他0%特になし備考・関連URLこの授業は講義科目であるため、講義という形態を基本的にはとるが、可能な限り、討議型、対話型で授業を進めたいと考えている。授業に積極的に参加できる学生の受講を望む。なおこの授業は、同時間帯の秋期科目と関連づけて展開するため、履修者は、文化構想学部のグローバル社会と教育を履修することが望ましい。なおコロナ禍の中にあっても、この授業は対面授業を基本とするが、状況次第ではリアルタイム配信(Zoom)を活用する。科目名教育福祉論担当者名竹原幸太教育コース2単位秋学期金曜日5時限2年以上―合併科目4授業概要子どもの健やかな成長・発達を支えていくためには、教育、福祉、司法、医療、文化などの各制度をつないだ包括的な支援体制が求められ、とりわけ、教育と福祉は車の両輪関係にあり、その連携は必要不可欠である。しかし、現実として、教育と福祉講義―165―

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