教育学部
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WASEDA UNIVERSITY SCHOOL OF EDUCATION GUIDE 20172学部長挨拶「最先端の研究」に学び、「伝える力」を養う学部です。早稲田大学教育学部は、早稲田大学に10ある学術院のうちの「教育・総合科学学術院」という組織に属しています。一つの学部としては、学生数、教員数、教育研究領域の広さにおいて学内随一を誇り、多様な人材を世に送り出してきました。教育の本質を追究する教育学科(教育学専修・生涯教育学専修・教育心理学専修・初等教育学専攻)と、文系・理系それぞれの専門分野の研究や教科教育に特化した国語国文学科・英語英文学科・社会科(地理歴史専修・社会科学専修)・理学科(生物学専修・地球科学専修)・数学科、および既存の枠組にとらわれず、新しい知の創造を目指す複合文化学科の7学科から成っており、学部自体が総合大学としての体裁を整えています。●早稲田の伝統「開放制教育学部」早稲田大学教育学部は、高等師範部を前身とし、戦後、私学として初めて創設された「開放制」の教育学部です。「開放制」とは、教員免許の取得を卒業要件とせず、学校教員の養成のみを目的としない教育学部のことです。早稲田大学教育学部は、高度に専門的な学識を身につけ、新たな知の創造を目指しながら、教育とは何かを科学し、教える・伝える技術を身につけることのできる学部です。伝える力は、教員はもちろんのこと、広く社会に貢献し、学問の発展に寄与するためにも不可欠な能力だと言えるでしょう。これまでも多くの卒業生が、学校はもちろんのこと、一般企業・出版社・マスコミ・官公庁・大学等の研究機関など様々な職域で活躍し、また文芸や美術や演劇などの芸術分野や、スポーツ界においても目覚ましい成果を残してきました。多様な価値観・目的を持ち、様々な場所・分野での活躍を目指す人間が集う学部だからこそ、広い視野と豊かな人間力を持った本物の教員も育成することができるのだと思います。●高度な専門性/地球を見つめる広い視野教育学部は、上記のような文理にわたる7学科からなっています。各学科は、それぞれの分野において学界の最先端を行く教授陣を擁し、学問体系に従った専門的なカリキュラムのもとで、最新の研究成果を踏まえた授業を提供しています。学生は、一年次よりそれぞれの学科に所属して、高度に専門的な学識を獲得してゆきます。また、他の学科が提供する科目を履修することで広い知見を持つこともできます。惑星としての地球があり、そこに多様な生物が存在し、その一つの種としてのヒトが、社会を形成し、文化を育み、科学を進化させながら、人間として暮している。そうしたシステムの全体を数学的な知見から理解し、人間の営みを言語を通して認識しながら、新しい価値を創造し、それを人類の財産として次代に伝える。地球という名の惑星における人間の営みの全体を広い視野に収めながら、それぞれの専門を極めることのできる学部です。●偉大なる先輩 杉すぎ原はら千ち畝うねのこと杉原千畝(1900-1986)は、教育学部の前身である高等師範部英語科に学び、外交官として、第二次世界大戦時にリトアニア領事官に赴任しました。そこには、ナチスの迫害から逃れるため、ヨーロッパの各地から人々が押し寄せました。その時、杉原は本国外務省からの指示に反しながら、人々に多くのビザを発給し、その結果、数千人におよぶユダヤ系の人々の命を救うことになりました。杉原のビザは、今でも「命のビザ」として語り継がれています。早稲田大学は、その功績を永遠に記憶するため、教育学部に近い場所に彼の記念碑を建てました。この杉原の勇敢な行動は、いまだ戦火を絶やすことのできない人類に対して、「勇気と知恵を持て」ということを教えています。我々が何かに行き詰った時、重要な決断を迫られた時など、いつも大きな勇気と知恵を授けてくれます。その意味で、杉原はまさしく「教育者」であり続けているのです。教育学部長 松本 直樹

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