文化構想学部シラバス2021
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科目名全体主義文化論序説ソ連、ドイツ、イタリアにおけるファシズム・全体主義期の芸術文化担当者名貝澤哉文ジャ2単位秋学期金曜日4時限1年以上―合併科目―授業概要革命後のソヴィエト・ロシアでは、スターリンの権力掌握以降、特に1930年代から、社会主義リアリズムといわれる公認の芸術様式が、文学、美術、建築、音楽、映画などあらゆる領域で発達したが、奇妙なことに、この芸術様式は、ソヴィエトの社会主義とイデオロギー的に対立していたはずのナチス・ドイツ、ファシスト期のイタリアの芸術文化ときわめて似たスタイルを持っていた。また、毛沢東時代の中国や戦時中の日本でも、類似の芸術様式や文化統制が行われていた。ロシアにおいては、社会主義リアリズム様式は、社会主義政権が崩壊した現在でも、現代美術や文学のなかできわめて重要な役割を果たしている。そこで、この講義では、当時の芸術作品や映画などを実際に見ながら、これまであまり取り上げられることのなかった、20世紀文化のなかでもきわめて特異でまた興味深いこうした現象を、主にソヴィエトとドイツ、イタリアの芸術との比較のなかで明らかにし、その文化史的な意味を考えたい。授業では、スライドショーやビデオなどを使い、ふだん触れる機会のないこの時期の珍しい作品をできるだけ多く紹介する。授業の到達目標これまであまり触れられる機会のなかった全体主義、文化統制下の文化について、少しでも多く具体的なその作品や文化現象に触れ、その出現の意味や、現代の私たちにとって持つ意義を自分で考えることが、この授業の目標である。そのためには、高校生的なお勉強ではなく、自分の頭でものを考え、自分独自の見方を自分の言葉で、しかし他の人にわかるように表現することが重要だ。成績評価方法試験0%下記を参照。レポート0%下記を参照。平常点0%下記を参照。その他100%授業状況により、レポートと出席により評価する。科目名翻訳文化論BL文学論──ガイブン×BLのただならぬ関係担当者名森井良文ジャ2単位春学期火曜日6時限1年以上―合併科目―授業概要BL=ボーイズラヴを知っていますか?(阿刀田高風に)きっと耳したことぐらいはあるでしょう。BLは(本当は)定義が難しい言葉なのですが、一般的にいえば男の子どうしの恋愛/友情以上の熱い関係を意味します。ですから、性愛を含むものから含まないもの、ひたすら純粋に想いあうブロマンスからほんとんど肉欲だけが頼りのハードコア、明らかに実体のある同性愛から読み手のBL脳を刺激する補正待ちの関係まで、じつに味とりどりのBLがこの世にはあふれているのです。また、BLは男性間の関係性だけでなく、エンターテインメントの一ジャンルを指す言葉にもなっています。とりわけ日本には、マンガ・小説・ゲームなどメディアミックスで進展中の一大市場が形成されており、少女マンガから耽美・やおいという一次・二次創作の文化を経て、同人誌/商業双方で発展を遂げてきた長い伝統があります。本授業では、そうしたBLをめぐる現況にも目を配りながら、その淵源にある外国文学(=ガイブン)の影を追ってみたいと思います。実際、日本のBLジャンルの成立過程をみると、外国文学からの影響が色濃く、それらの作品を受容し翻訳してきた側面が見受けられます。とりわけヨーロッパの男性同性愛もののインパクトが顕著なのですが、その影響・受容の実態だけでなく、着想源とされている作家・作品をあらためて紹介し、新たにBL文学としてアクチュアライズしていくことも本授業のねらいです。担当教員の専門の関係上、フランス文学に焦点をしぼりました(その意味では、フランス語から日本語への実質的な翻訳の話題も提供できるでしょう)。横断的にイギリス・ドイツ・日本文学についても触れることになるかと思いますが、いずれにしても講義をとおして、各自がそれぞれの守備範囲でガイブン×BLを考える糸口をつかんでもらえればと思います。なお、以下のスケジュールはあくまで授業で取り上げるであろうトピックを並べただけで、このとおり進むかどうかわかりません。担当教員はすでに頭が発酵しているので、横断どころか暴走は必定……どうかお含みおきを。*本授業は基本的にオンラインで行い、zoomによるリアルタイム配信とYouTube上での録画配信を組み合わせる。授業の到達目標BLが惹起する様々な主題を通時的かつ共時的に把握する。BLをどう捉えるかという問題を自らに引きつけて考えながら、受講者各自がBL的なるもののゆくえを見定めていってほしい。みんなで楽しく腐りましょう。すでに腐っている方は発酵してください。さまざまな愛のかたち・モラル・感覚を知ることで世界の見方を広げていくことが何よりのねらいです。オンナも、オトコも、ヘテロも、クィアも、それぞれ積極的にジェンダー・トラブルを受け入れてみよう。成績評価方法試験0%レポート70%授業で扱ったテーマやトピックを発展させたレポート。平常点30%出席点、コメントカードなど。その他0%講義―102―

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