文化構想学部シラバス2021
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科目名社会構築論系演習(人権論2)優生保護法と強制不妊手術担当者名豊田真穂構築2単位秋学期金曜日3時限2年以上―――授業概要2018年以降、優生保護法の強制不妊手術をめぐってメディア報道が活発化した。その背景には、同年1月30日の宮城県での訴訟をはじめとして、各地方裁判所で当事者(やその家族)による国家賠償請求訴訟が提出されたことがある。日本政府は、優生保護法が1996年に廃止(母体保護法に改称・改正)されてから20年が経ち、賠償請求権はないなどと回答しており、裁判所も除斥期間を理由に賠償請求できる権利はすでに消失しているとして、訴えを棄却している。一部の裁判では、旧優生保護法の違憲性が確認されているにもかかわらず、賠償されない判決に対して被害者たちは控訴し係争中である。一方、ドイツやスウェーデンなどでは政府による補償がなされてきた。日本でも、国会議員の超党派プロジェクトチームなどによって優生保護法によって強制不妊手術の対象となった人びとに対する救済制度を立法化し、2019年4月24日、議員立法による旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の成立にいたった。しかし、この法律には多くの課題が残されている。そこで本演習では、優生保護法がどのような法律であったのかを理解することを目的とする。また、参照点としてハンセン病の国賠訴訟(2001年)や家族訴訟(2019年)を基点とし、ハンセン病政策の歴史などについても学ぶ。*本演習は、対面での実施を予定しています。また、状況次第ではハンセン病資料館などにおける見学も計画しています。授業の到達目標1)人権の視点で議論できるようになる。2)過去を見据えた上で現在の問題を知ることができる。成績評価方法出席、グループ・ワーク、プレゼン等の平常点(60%)と期末レポート(40%)で総合的に評価します。科目名社会構築論系演習(平和論1)アジアン・ディアスポラ担当者名金敬黙構築2単位春学期金曜日5時限2年以上―――授業概要アジア地域の域内外から(へ)の難民、移住者などの流入と流出の事例、背景、傾向などを学びます。日本からアジア諸国へ、そしてアジア諸国から日本へ、さらにアジアの域外から日本を含むアジア地域への人の移動について学ぶきっかけを作ります。学生たちのプレゼンテーションと討論を通じて参加型の授業をも進めます。具体的には北朝鮮難民(脱北者)をとりまくディアスポラの事例や日本に暮らす難民やデカセギ労働者などの事例を数多く活用します。授業の到達目標グローバルな課題として浮上している難民・移住者のテーマを日本を含むアジア地域の事例を中心に理解し、今後の政策や現象問題への理解を深めることを主なねらいとします。日本の難民政策や移民受け入れ政策の今までと今後を理解し、グローバルな視点から日本とアジア諸国(地域)の在り方を検討します。成績評価方法平常点が50%(出席、報告、討論)、残りの50%はレポートや最終課題(試験またはレポートなど)で評価します。備考・関連URL対面授業を基本としますが、状況次第ではオンライン(CollaborateやZoom)で展開する場合もあります。科目名社会構築論系演習(グローバル社会3)多文化共生社会を描き、その実現へ向かうために担当者名南雲勇多構築2単位春学期月曜日3時限2年以上―――授業概要多文化共生という言葉をさまざまな場で目にするようになった。多様かつ多層的に変容が起きている社会の中で、また、多くの文化が存在し個々の人間が複数の文化と関わりを持つようになるにあたって、その言葉の重要度はより増しているように思われる。しかし、その言葉が聞きなれたものになっていく一方、多文化共生とは何かということについては曖昧なままである場合も少なくないのではないだろうか。多文化共生が掲げられているにもかかわらず、実際には特定の文化と関わる人びとが人権侵害を受けている事実も看過できない。また、多くの文化がそのまま共生状態に落ちちくのではなく、動的に存在する中で時に緊張関係や抑圧・被抑圧関係を生みだし人びとの生を脅かすこともある。加えて、多文化共生という言葉が多用される中で、多くの文化だけでなく多くの多文化共生論も存在(混在)し、場合によっては相互で齟齬が見受けられることもある。こうした状況の中で多文化共生社会の実現を目指すために、現在人びとが被っている人権侵害の問題や文化状況を(社会構造との関係もふまえつつ)批判的に読み解くこと、既存の多文化共生社会に関する議論を問いなおしていくことなどを通し、望ましい多文化共生社会を描き、実現へ向けたアプローチを模索していく実践的で持続的なプロセスが求められる。そこで本演習ではそれぞれが、そして共に多文化共生社会を創造する主体として、上記の課題についての議論や考察を通し、多文化共生を描き、その実現へ向かうための視点・論点を実践的に深めることを目的とする。この演習では、ワークショップへの参加やグループワークを基本とし、一人ひとりが学びあいのコミュニティを協働でつくる主体として進めていく。担当教員がコーディネートするワークと、テーマごとに分かれて議論・発表を行うグループワークの組み合わせで進められる。多文化共生論を中心とし、人権論、社会的マイノリティに関わる実践・研究の知見もかりつつ、現実課題について考えていく。授業の到達目標*多文化共生社会に関わる視点や課題について、現実課題にふれながら、また、他者と共に学びながら、自身の考えや言葉を身につけること専門演習―524―

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