文化構想学部シラバス2021
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科目名現代人間論系演習(社会福祉の論理と倫理)婚姻制度と社会福祉担当者名熱田敬子人間2単位秋学期水曜日2時限2年以上―――授業概要なぜ私たちは結婚したいとおもい、結婚しようとするのか?現代の日本社会で結婚とは単なる愛情による結びつきではない、国家による社会福祉の最小単位を構成する契約である。日本の社会福祉制度の多くは、結婚と、日本国籍を持ち、婚姻関係にある異性愛の男女から生まれる子どもを対象としており、そこから外れる人々への対応は非常に脆弱である。こうした状況は新自由主義的政策が、国家の社会福祉コストを削減し、個人の自助努力と家族間の助け合いを重視する傾向のなかでさらに強化されてきた。結婚が社会福祉の代替品と捉えられることは、私たち1人1人の生き方を大きく制限している。人々の生き方が多様化し、結婚するかどうかが個人の選択になったといわれる一方で、子どもの養育、介護などの社会化は進まず、あるいは後退し、結婚した異性カップルを中心とする家族関係がケアの負担を負うことになる。日本の婚姻制度がモデルとして想定する男性片稼ぎ/専業主婦/子どもの世帯構成自体が、正社員減少、平均年収の低下、晩婚化、非婚化、家族の個人化によって崩壊しつつある一方、婚姻を前提としない個人単位の福祉制度の構築は進まない。さらに、婚姻にまつわる問題は、結婚が愛情の制度である/でなければならないというロマンチック・ラブイデオロギーに基づいた規範意識によって、見えにくいものとなっている。ヘテロセクシュアルな夫婦関係、婚姻関係にある両親と子の関係が結婚を通じて親密な関係性として保護される一方、その他の親密な関係性は社会的に不可視化される。本演習では日本の社会福祉の中核である結婚制度の成り立ちと、結婚が人々に与える影響、結婚と恋愛の関係といった視点から、強くジェンダー化されている日本の社会福祉を問い直すことをめざす。授業の到達目標・人々が生き方の自明の前提としがちな結婚制度と、結婚制度が社会福祉の単位とされている現状を多角的、批判的に捉えなおし、新たな社会関係に対する想像力はぐくむこと。・戸籍制度、事実婚運動、モノガミー、税・社会保障制度、住居政策などの面から、社会制度としての婚姻を理解すること。・男女、セクシュアリティを問わず私たちの人生を構造化するジェンダー作用について、反省的に捉える視点を持つこと。また、ジェンダー化作用と深く関わって複合差別を形成する、経済階層、エスニシティ、シチズンシップ、ディスアビリティなどの要素についても理解を深めること。成績評価方法試験0%なし。レポート50%学期末にレポートを課す。平常点30%授業への積極的な参加、WasedaMoodleでの意見記入で評価する。その他20%グループワーク、授業内の課題への取り組みで評価する。備考・関連URL基本的にzoomを用いたリアルタイム授業を行う。科目名現代人間論系演習(クィア・スタディーズ)担当者名井芹真紀子人間2単位春学期水曜日5時限2年以上―――授業概要本演習では、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる規範に対して批判的介入を行ってきたクィア・スタディーズという学問領域が、どのような社会的背景から、どのようなテーマを、どのような視点によって論じてきたかを包括的に学ぶ。その創成期にあたる1990年代から現在にかけて、クィア理論における中心的な論点を示してきた重要文献の講読を行うとともに、それらを用いて具体的な文化表象や社会事象について批判的に考察・分析するための視座を養う。演習を通じて、クィア・スタディーズの広領域的・学融合的アプローチ(ディプロマポリシーより)を学び、社会や文化を理解する上で欠くことのできないジェンダー、セクシュアリティに関する議論を適切に理解するための学問的基礎を身につける。授業の到達目標・ジェンダー・セクシュアリティに関する議論を理解する上で必要となる、基本的な用語や概念、トピックを理解する。・ジェンダーやセクシュアリティについて議論を行う際に不可欠な基本姿勢と批評的アプローチを身につける。・クィア理論が展開してきたさまざまな批評実践を、それぞれの歴史的・社会的文脈に位置づけるとともに、それらの視座を適切に用いて、現在のジェンダー・セクシュアリティをめぐる社会的・文化的事象について批判的に分析・考察することができるようになる。成績評価方法試験0%レポート40%課題は第1回の授業で提示します。演習で扱う講読文献の議論を正確に理解し、クィア・スタデイーズの基本的な批評姿勢を踏まえた論理的かつ説得的に考察できているかを評価します。平常点20%授業への参加および貢献度※3分の2以上の出席がない場合、成績評価対象となりません。その他40%課題論文のレビュー発表20%期末レポートの構想発表およびピアレビュー20%備考・関連URL・本演習は、ジェンダー・セクシュアリティに関する議論の学修を目的として、多くの性的なイシューや表現を扱い、論じるものであるため、履修の際は十分に留意すること。・意図的に差別発言を繰り返す・嫌がらせを行うなどの悪質な言動を、講師の警告を受けてもなお続ける受講者がいた場合、専門演習―501―

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