文化構想学部シラバス2021
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ある医療システムの1つにしかすぎません。中には病名のつかない不調、精霊や呪いによって起こると考えられる不調もあります。医療人類学は、生物医療を最も優れた医療システムとして捉えるのではなく、世界にある数多くの医療システムの1つとして相対化し、ひとが抱える心身の不調を、生物学的な異常ではなく、個人の後ろ側にある社会や文化、政治・経済状況までもが包括的に絡み合った苦しみとして捉えます。本演習では、生物医療以外の医療システムや、摂食障害、ストレス、トラウマといった最近よく耳にする用語や、死や老化といった問題を扱い、心と身体の不調を、世界の中で試行錯誤をしながら生きる人間という大きな視野でとらえる見方を学びます。授業の到達目標身体や心の不調を医療人類学的に分析する視点を養う。成績評価方法試験0%なしレポート40%テーマごとに提出。期末レポートはなし。平常点30%出席と授業参加態度その他30%グループ発表備考・関連URL受講に当たっては下記を留意すること1.テーマごとに課題が出される2.テーマごとにグループに分かれ、グループそれぞれが講師のアドバイスのもとディスカッションを行いながら授業を運営する形式である3.グループワークへの積極的な参加が求められる。4.扱い内容に若干の変更を加える場合がある。科目名複合文化論系演習(コミュニティとナショナリズム)現代世界におけるナショナリズムとコミュニティ担当者名大澤誠複合2単位秋学期金曜日3時限2年以上―――授業概要ナショナリズムは近代と強く結びつく現象であるが、現代のグローバル化の時代にあって、再びこうした動きが世界各地で目立つようになってきたと言われる。とりわけ近年では、移民や難民に対し、あるいは、外部に由来すると考えられる理念や価値観に対し、われわれ―われわれの利益や価値観、あるいはわれわれのコミュニティ―を守ろうとする動きとして現れているように思われる。他方、コミュニティという言葉も、さまざまなレベルの多様な集団をさすことがある多義的なものでありながら、昨今地域コミュニティの再生が目指されるなど、社会的に注目されている。こうした状況への理解に近づくために、本演習ではまず、ナショナリズムおよびコミュニティについて論じた古典、重要な著作を何度かに分けて購読し、これまでの議論の概要を学ぶ。具体的には、ベネディクト・アンダーソンの想像の共同体ImaginedCommunitiesおよびジェラード・デランティコミュニティの一部の章をテキストとして購読予定である。さらに、受講生自身が関心を持った現代世界においてコミュニティとナショナリズムを考えるための事例を選び、それについて調べたことを発表してもらい、全体でのディスカッションを経て、このテーマへの理解を深めたい。授業の到達目標①ナショナリズムおよびコミュニティという今も注目される概念について、基本的な知識を得る。②現代世界におけるナショナリズムとコミュニティをめぐる問題系について、自ら調べて理解を深め、自分なりにアプローチする力を身につける。成績評価方法試験0%試験は行いません。レポート40%学期末にレポートを提出してもらいます。レポート内容が、授業内容を充分に理解したうえで、正確に論理的に記述されているかをもとに評価します。平常点60%授業での報告・発表の内容、およびディスカッション等授業への参加状況を評価の対象とします。その他0%特にありません。備考・関連URLコロナ禍であることを鑑み、状況によっては大学の指針に基づきオンラインが主体の授業となることがあり得ます。その際には、主としてリアルタイム配信によりプレゼンテーションおよびディスカッションを実施します。・講義が中心の回は、一部オンデマンド授業を取り入れます。事前にアップする資料と音声(45分程度)を受講してもらい、そのうえで、所定の授業時間内の一定時間、Zoomを使ってのディスカッションをおこないます(講義とあわせて90分程度の予定です)。・第4週以降のプレゼンテーションが中心となる週は、Zoomを中心に90分間、プレゼンテーションとディスカッションを行う可能性があります。科目名複合文化論系演習(多文化社会論)グローバル世界とダイバーシティ(多様性)担当者名高橋利枝複合2単位春学期木曜日5時限2年以上―――授業概要移民が多い国、たとえば、カナダ、オーストラリアなどに、ぞれぞれの移民が以前にいた国、地域の文化を背負い、別の地域から人々の異なる文化と共存する多文化という現象が見られます。歴史的経緯の中で、それらが融合して、別の文化を形成していく傾向も見られますが、その一方で、それぞれの異なる文化を尊重して、それらを保持したまま、もしくはその変化は自然な経過に委ね、積極的に共存を模索する動きもあります。例えば今日では、衛星放送やインターネット、YouTubeなどの動画共有サイト、ソーシャルメディアなどによって日常生活において絶えず母国とつながり、文化的アイデンティティを再創造している若者たちもいます。そうした、ひとつの国もしくは地域に属する社会に見られる、多文化という現象に関して、幾つ専門演習―435―

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