文化構想学部シラバス2021
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慮しながら進めていきたい。科目名多元文化論系演習(遊牧・オアシス文化論)中央アジアの歴史と文化担当者名河原弥生多元2単位秋学期火曜日2時限2年以上―――授業概要中央アジア(主に旧ソ連中央アジア5カ国、コーカサス3カ国、中国新疆ウイグル自治区)は、大部分がイスラーム文化圏の一部であるが、多様な民族を内包し、社会主義国家を経験するなど特徴ある歴史を歩んできた。本演習では、中央アジアの自然環境、歴史、宗教、言語、芸術文化、近年の紛争など様々な問題について、教員が概説を行った後、受講者が各自の関心に従ってテーマを選択し、その内容を発表する。授業の到達目標中央アジアの歴史と文化に対する理解を深めるとともに、各自の発表と質疑応答・討論を通じて発表技術を向上させることを目標とする。成績評価方法授業時の発表内容、質疑・討論への参加度、コメントによって平常点とする(50%)。学期末に授業時に各自が発表した内容を増補改訂し、レポート(3500〜4000字)として提出する(50%)。備考・関連URL報告担当箇所と日程を決めるため、第一回の授業には必ず出席すること。オンラインでの開催となった場合、本授業は演習であるためリアルタイム配信とする。科目名多元文化論系演習(歴史の遺産と表現)映画に見る江戸落語の滑稽とイギリスのセンス・オブ・ヒューモアの比較担当者名池澤一郎多元2単位秋学期木曜日3時限3年以上―――授業概要本演習では、落語の趣向をふんだんに取り入れた山田洋次監督の映画作品とイギリスからアメリカに渡ったビリー・ワイルダー監督の映画作品とを綿密に鑑賞し、その江戸的滑稽味と英国的senseofhumourを比較することを主眼とする。山田洋次監督は当初黒澤明監督のスペクタクルロマンを尊崇し、やがて小津安二郎監督や成瀬己喜男監督の日常生活の細部のきらめきを掬い取る作風の作品に傾倒する。ビリー・ワイルダーの先蹤は言わずと知れたエルンスト・ルビッチであるが、ワイルダーもルビッチも映画の作劇術において笑いの要素を重視している。山田洋次監督もビリー・ワイルダーも先輩の監督の手法を継承発展させようと試みた伝統重視の姿勢を堅持した人といってよい。参加者には山田洋次監督作品に影響を及ぼした落語をまず鑑賞してもらい、それについての報告を分担して行ってもらう。次に最も落語的要素に富む映画作品の鑑賞をしてもらってから、落語的要素をいかに摂取しているかを具体的に指摘する報告を行ってもらう。次にビリー・ワイルダー監督作品の鑑賞を行い、その中に現れるヒューモアについて具体的事例を列挙説明する報告を分担して行ってもらう。最後に山田洋次監督の落語的滑稽とビリー・ワイルダー監督作品のヒューモアとの比較を総合的に行う報告をなしていただく。余力あらば、やはりイギリス出身のアレフレッド・ヒッチコック監督のサスペンスロマンにおけるヒューモアの効果についても映画鑑賞の後に報告を行っていただく予定である。授業の到達目標まず参加者には、江戸・明治伝来の落語が決して表層的、ポップな笑いを醸すだけでなく、悲喜こもごもの複雑な人間心理を土台とするものであることを認識してもらい、落語についての一家言を備えてもらいたい。日本人はおおまかにいって、深刻な事件や悲劇的要素を扱った藝術を重視し、滑稽笑いの要素を軽視する傾向にあるが、それは大きな誤りであることにも気づいてもらいたい。次に現存する日本の映画監督の中で、いかに伝統性重視の山田洋次が優れているかを把握してもらい、ビリー・ワイルダー監督やアレフレッド・ヒッチコック監督がいかにイギリス的センス・オブ・ヒューモアに満ちた脚本を書いた人であったかの認識を深めてもらうことを目途とする。成績評価方法毎回の分担報告の事前の調査準備の質如何と発表時の熱意や創意工夫、レポートの文章の明晰さや演習参加時の情況がいかにビビッドに反映されているかなどによって評価する。備考・関連URL音声付き映像を教材に利用するので、ズームによる対面式演習を基本としたい。ただし、個別の事情により、定期的な出席がかなわぬ参加者にも、参加者と同じ内容の資料掲示を行い、数次に亘るレポートを課するので、それに対応していただきたい。科目名多元文化論系演習(海外華人文化)担当者名高屋亜希多元2単位春学期金曜日5時限2年以上―――授業概要中国の移民の歴史は長く、移住先も東南アジアを中心に世界各国に広がっています。大量の移民が流出するようになったのは近代、とりわけ文革が終わった1970年代末以降のことで、現在もその流れは続いています。その一方で、1990年代後半に入ってからは、発展めざましい中国に将来性を見いだし、香港や台湾などの出身者を含む多くの華人が、中国のさまざまな場面で活躍するようにもなってきました。こうした国境や国籍に縛られることなく移動・連携する海外華人の問題は、グローバル化が進む今日において、私たち自身の問題でもあるのではないでしょうか?本演習では、海外華人が抱える社会的事情や歴史的背景について概観した上で、彼らが果たしている社会的・文化的役割などを、受講者の発表を中心に具体的事例に沿って考えていく予定です。授業の到達目標本演習は2つの目標を設けています。1つは、海外華人の歴史的変遷、移民先の社会で移民が抱える問題や果たしてきた文化的役割などについて、基本的な理解を得ることです。もう1つは、その基本的理解を踏まえた上でそれぞれ資料調査等を行い、専門演習―412―

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