文化構想学部シラバス2021
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か。歴史をひもとけば、そこにはいま当たり前とされているものとは、およそかけ離れた雇用慣行や労働文化が見えてきます。本講義では、戦前日本の労働文化・就職文化がいかなるものであったか、そこからどのようにして現代のあり方へと変化してきたのかを通時的に検討します。過去の日本社会における労働・就職のあり方を知り、いまの問題の来歴を理解することで、いまの労働・就職と向き合うための手がかりが得られるでしょう。授業の到達目標(1)戦前・戦後日本の労働・就職をめぐる文化を多角的に理解する。(2)戦前・戦後日本の労働・就職に関する史料を読解する能力や分析視角を習得する。成績評価方法試験0%レポート50%期末レポート平常点50%授業への参加度/コメントペーパーの内容も加味します。その他0%科目名日本女性史古代の女性官僚担当者名伊集院葉子日史コース2単位春学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要国ごとの男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数の最新値で、日本は、153カ国中121位となりました。過去最低となった要因の一つは、政治分野での男女格差の拡大です。これは、女性が各レベルで意思決定に参画する機会を阻まれていることを意味します。本講義では、このような日本社会のあり方が、わが国固有のものだったのかという問題意識のうえに、日本古代の政治分野における女性の役割を考察します。女官・女房に焦点をあて、その歴史的意義を講義しますが、同時に、村や地方豪族クラスで女性リーダーが活躍し、中央では女帝が輩出した古代社会の構造も考察します。授業の到達目標(1)古代社会の基本的な特徴と女性が政治参画し得た要因を理解する。(2)古墳時代から鎌倉時代初期にいたる長いスパンでの日本社会の変化のなかで、男女の均等性が失われていった経過を理解する。成績評価方法試験0%レポート80%授業中に配付する課題論文についてのレポートを提出すること。要旨をまとめるだけではなく、分析と批判を的確に行えているかどうかを評価します。平常点20%授業への積極性を評価します。毎回、授業の理解度をはかる小テストを実施します。その他0%科目名古文書学2担当者名久保健一郎日史コース2単位秋学期土曜日3時限2年以上―合併科目―授業概要古文書学は、日本史学を学ぶ上で重要であるばかりでなく、総じて日本の過去に関わる数多の事象・事柄を学ぶ際にも資するところ大である。本科目では、古文書を様式から大きく二つの類型に分けた場合の、非政治的文書について、上申文書、証文類の順に、成立・内容・機能等を概説し、写真版を用いて実際に解読していく。併せて、解読のために必要な日本史に関する知識・用語等についても解説する。授業の到達目標古文書についての体系的知識を学び、実際にある程度解読できるようになることを目標とする。成績評価方法試験100%古文書の様式やくずし方について、授業内容をどれだけ理解しているか。レポート0%なし平常点0%なしその他0%なし備考・関連URL本科目はもちろんそれ自体で完結した内容であるが、古文書学1を併せて受講することによって、古文書学について、より発展した知識を得ることができるので、本科目の受講者は古文書学1も併せて受講することを勧めたい。科目名アジア史学発達史2大日本帝国の治安体制担当者名荻野富士夫日史コース2単位秋学期木曜日4時限1年以上―合併科目―授業概要卒論から修論にかけて初期社会主義思想という社会の変革の志向を主題にした私は、その後、そうした変革を抑圧し取締る側の諸問題を考察するという治安体制の解明をもう一つの主題としてきました。治安体制とは国家の統治の理念・意思と治安法制、治安機構、それらの実際的運用ということですが、はじめからその全体像が見えていたわけではなく、一つの小さな主題を乗り越えると、次の課題が見えてくるという拡がり方をしてきました。同時に、近代日本が帝国主義国家に展開していく過程で、朝鮮・台湾という植民地、かいらい国家満洲国、さらに中国・アジアにおける戦時下の占領地域においても、その統治および軍政をおこなっていくうえでそれぞれの治安体制の構築は不可欠でした。たとえば、治安維持法は国内において社会変革の運動と思想を逼塞させ、総力戦遂行の障害となるものをことごとく一掃して講義―235―

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