文化構想学部シラバス2021
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鑑賞するには歴史故事に関する豊富な知識が必須、というイメージをもたれることも多い。そこで、後半は南北朝から南宋までの代表的な作品を取りあげ、内容とあわせて表現上の約束事と技法を解説していく。その中では、かつての日本人が中国の伝統文化に何を求め、それをどう理解し、どう利用してきたのか、それを検証しながら、美術と政治の接点についても考えていく。授業の到達目標統一と分裂を絶えず繰り返し、民族問題を抱え続けてきた中国において、美術作品を収集しそれを後世に伝えていくことは、いかなる意味を持っていたのか。単なる作品解説のための知識にとどまらず、作品をつくり、集め、鑑賞し、伝えていく、という営為について理解することを目指す。成績評価方法試験60%最終回に理解度の確認をおこなう。授業の目的は作品鑑賞のための基礎知識の習得にとどまるものではない。作品の観察を通して、アジアを舞台に中国美術が繰り広げてきた異文化の接触の様相に視野を広げ、その歴史的意義について主体的な見解を明確に述べることができているかどうかをみる。レポート0%平常点40%出席および授業への主体的な参加。ここでいう主体的な参加とは、適宜提出してもらうレビューシートのこと。その他0%備考・関連URL授業は教室での対面授業を基本とするが、状況によっては一部オンデマンドによる動画配信を用いて進める可能性もある。オンデマンド配信をおこなう場合は、事前に必ず周知する。また、授業の進捗状況や展覧会開催予定により、美術館・博物館での関連展覧会の見学に振り替える可能性もある。科目名絵画の見方絵を見るとはどういうことか担当者名益田朋幸美史コース2単位秋学期無フルOD1年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要絵が目の前にあれば、それを見ることは簡単である。しかしそこで受けとる内容は、ひとりひとり異なっており、深くもあり、浅くもある。主として西洋美術を題材にして、古代から現代までの作品をとりあげ、何をどのように見ればいいのか、具体的に考える。絵を見るためには、知識(作品の技法、図像学など)も必要だが、何よりも自分の頭で考えることが重要である。この講義は、その考え方のレッスンでありたいと願う。まず西洋絵画の技法を簡単に紹介したのち、遠近法とは何か、詳細に検討する。現実の三次元世界を、絵画という二次元に閉じ込めるためには、何らかの形で遠近表現が不可欠だからである。それを踏まえて、時間を絵画の中にどのように表現するか、そのさまざまな方法を概観する。だまし絵は、芸術的でないとして軽んぜられる傾向があるが、二次元と三次元のイリュージョンの問題を考えるのに最適のジャンルである。古代から近代にいたるだまし絵の系譜をたどり、そこに何が起こっているかを言語化する訓練をする。自画像は絵画の中でも特殊なジャンルであり、メタ絵画的性格が強い。古今の自画像を考察しながら、絵画の仕組みについて考える。西洋絵画の中で重要な意味をもつヌード、鏡といったテーマについても考察する。授業の到達目標西洋美術の技法については、基本的な知識を身につけること。絵画作品の解説に依存するのではなく、自分の目で見て、自分の頭で作品の内容を解釈する(言語化する)ことができれば、言うことはない。成績評価方法試験100%最終回の理解度の確認(試験)のみ、リアルタイム配信で行う。基本的な知識を問う問題に加えて、長文記述の1問を用意する。記述問題はあらかじめ告知する。通信上の問題で参加できない学生には、別途レポートの課題を課す。レポート0%なし平常点0%なしその他0%なし備考・関連URL本講義はフルオンデマンド形式で行います。最終回の理解度の確認(試験)のみ、リアルタイム配信で行います。事前にアナウンスをします。科目名美術史への招待1美術作品をどう見るか担当者名山本聡美他/川瀬由照/児嶋由枝/坂上桂子/成澤勝嗣/肥田路美/益田朋幸美史コース2単位春学期水曜日1時限1年以上―合併科目3授業概要美術史とは、どのような学問の分野なのでしょうか。美術の歴史?しかしそれは、作品の制作年代を覚えることではありません。中学・高校の課程に美術史はないので、馴染みのない人も多いかも知れません。美術史を専門とする全教員が担当し、それぞれの立場から美術作品を見るとはどういうことか、考えるのがこの講義です。各教員が専門とする時代や作品について、毎回視点を変えてお話しします。外国語の文章を読むときに、わからない単語は辞書を引きますが、美術を見るときには何もしなくとも見ることができるような気がします。しかしちょとしたコツや知識をもって作品を見れば、今まで見えなかった側面がきっと見えてくるでしょう。そのための具体的なレッスンをしましょう。毎時間、多数のスライドを鑑賞します。なお、この授業は全てWasedaMoodleを利用したオンライン(オンデマンドとリアルタイム配信の併用)で実施します。各回の授業方法については、シラバスを参照してください。初回授業のガイダンス(リアルタイム配信)でも詳しい履修方法を説明しますので、必ず受講してください。授業の到達目標ある美術作品を見て、それが日本・東洋(中国)、西洋のいつ頃の時代のものか、おおよそ見当がつくようになりましょう。講義―227―

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