文化構想学部シラバス2021
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自分の頭で考え、自分の言葉で論じられているか、という視点から評価します。先行研究、文献からの無断引用、剽窃など学術的文章のルールに抵触する場合は勿論、単純な引用のみで構成され、受講者自身のオリジナルな文章と認められないものは、単位認定を行いません。また、提出期限に遅れたものは受理しないので充分に留意すること。平常点20%出席確認は毎回行います。講義開始後およそ10分を経過した後は遅刻の扱いとします。学期末に出席・遅刻・欠席を点数化しますが、出席回数が、全体の2/3に満たない場合には、レポートが提出されても成績評価の対象としません。講義中の討論参加、リアクションペーパーの記述も評価の対象とします。その他0%備考・関連URL講義には積極的、能動的態度で臨むことを強く希望する。展覧会は、特別展、常設展示を問わず、機会を捉えて出来るだけ多く鑑賞すること。会津八一記念博物館、演劇博物館など、学内の展示にも積極的に触れることを勧める。科目名仏教美術の歴史ほとけのイメージの発生と展開担当者名肥田路美美史コース2単位秋学期水曜日1時限1年以上―合併科目4授業概要インドのガンジス河中流域で起こった仏教は、膨大な思想体系と造形美術や実践行を生み出しながらアジア全域に伝播しました。なかでも、インドとは風土も文化もまったく異質な東アジアの土壌に仏教が根付くにあたっては、美術という視覚イメージが大きな役割を果たしました。ほとけの姿とは人の空想の所産に過ぎませんが、それを実際にありありと目で見たいという欲求が、仏像を造形する原動力になりました。また、そうして造り出された仏教美術が、人々に祈りの心を生じさせ、他のジャンルの美術にもさまざまな影響を与え、時に歴史の証人ともなり、芸術性や精神性を以てなお現代の私たちを魅了する力をもっています。この授業では、ほとけのイメージの発生から密教美術の成立までを通史的に概観しながら、それぞれの地域や時代に、人々が何を見たいと欲し、どのようにそれを形にしてきたかについて、いろいろな角度から考えていきます。授業はオンライン(リアルタイム配信)でおこないます。授業の到達目標・仏教美術を鑑賞したり考察したりする上で必要な基礎的な知識を習得する。・仏教美術の歴史的展開について把握する。・仏教美術を通して、“見たいもの”を目に見えるかたちに表現するという美術の本来的な意味やはたらきについて考えを深める。成績評価方法試験0%行わないレポート0%特に課さない。平常点100%毎回、授業の内容に関する簡単な課題やレビューをMoodleに提出してもらい、それを以て出欠と授業への積極的な取り組みを確認するとともに、理解度を確認・評価する。その他0%特に無し。備考・関連URLリアルタイム配信を主とし、回によってオンデマンド配信を交えながら、全回をオンラインでおこないます。詳しくはMoodleのアナウンスで事前にお知らせします。本科目に限らず、美術史を勉強する上で最も大切なことは、実際に作品を見る経験を重ねることです。コロナ禍でそうした機会を持つことが難しい現状ですが、随時、展覧会などの情報を伝えますので、できるだけ自分の目で作品に接して欲しいと思います。科目名中国の美術東アジア美術の規範を再考する担当者名楢山満照美史コース2単位秋学期水曜日2時限2年以上―合併科目―授業概要ダ・ヴィンチ、フェルメール、ゴッホ、ルノワール…と聞けば、多くの人は代表的な作品を頭に思い浮かべることができるではなかろうか。その一方で、顧愷之、閻立本、郭煕、馬遠…と聞いて、同じように作品をあげることができる人はおそらく多くはないように思われる。悠久の歴史を今に伝える中国の美術作品。ここ日本の美術・文化のルーツ、という漠然としたイメージはあっても、その人気と知名度は、西洋や日本の美術と比べると圧倒的に低いといってよい。この違いはなぜ生じたのか。この授業ではこの疑問を出発点として、中国美術の特質と東アジアにおけるその意義を考察するため、次のふたつのテーマを設定する。ひとつは、死を彩ってきた古代の美術の見かたである。人は死んだらどこへ行くのか?この単純にして素朴な疑問は、太古の昔から今に至るまで、様々なかたちの美術作品を生み出す原動力となってきた。誰にでも等しくおとずれる死。だからこそ、せめてそこは華やかで楽しい世界であってほしかったはず。墓の中と聞くと、閉ざされた暗い世界をイメージするかもしれない。しかし、古代中国人の素朴な願いと豊かな発想力、そして手わざを極めたかのような超絶技巧によって生み出された数々の美術作品は、それをあっさりと覆してしまうはずである。そこで、前半はおもに古代中国の墓の中の世界をのぞき見し、そこを華やかに飾っていた壁画や副葬品の内容を学びながら死者の霊魂の行方を視覚的に追っていく。もうひとつのテーマは、中国絵画の見かたである。古代から近世にいたるまで、日本人画家がひとつの規範として追い求め模倣し続けてきた絵画は、中国のものであった。日本では中国から伝来した作品を唐物(からもの)、唐わたりとよび、それらに対して本場中国とは異なる価値づけをおこなわれ、時の権力者たちはそれを鑑賞し、人の手から手へと大事に伝えてきた。そうした作品こそが、日本絵画の母胎となってきたのである。しかし、中国絵画というと、表現や内容が複雑、奇抜過ぎて、講義―226―

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