文化構想学部シラバス2021
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そ700年にわたって東アジアにおけるもっとも正統的・規範的な学問として、科挙はもとより、真理探究の学として、人間修養の学として、大きな権威を持った。明代に入ると、社会的・経済的基盤の変動を背景として、朱子学を思想資源としつつ陽明学(王守仁思想)のような新たな思潮が次々に興起した。本講義ではこのような思想史の流れをトレースするとともに、特に朱子学における経書解釈の学(経学)に力点を置き、さらには宋明文献の読解のための基礎知識の習得も目指す。宋明の儒者たちの発話は語録というかたちで弟子たちによって書き留められたが、語録は白話文といわれる話し言葉に近い文体が用いられており、それは通常の文言文とやや異なるものである。江戸時代の訓点本を利用しつつ、受講者にも白話文の読み解きにトライしてもらいたい。※この授業は全回リアルタイム配信型授業で実施します。本授業は全回リアルタイム配信型授業として実施します。授業の到達目標宋明時代の代表的な儒学者の思想の梗概を把握するとともに、資料解読のための基礎知識を身につける。成績評価方法試験0%レポート40%授業全体の内容について、あるいは授業に関わる範囲で学生自身が興味のあるテーマを選択し、それをレポート(2400字程度)する。授業最終回で総評を行う。平常点60%授業ごとに授業内容に対する理解・感想・質問などを記入してもらう。独創性のあるものや質問などは次の授業で取り上げたい。その他0%科目名日本思想特論日本仏教諸宗の思想担当者名大久保良峻他/成瀬隆順/日比宣仁/松本知己東哲コース2単位春学期火曜日5時限2年以上―合併科目―授業概要日本仏教は、奈良時代に法相宗、三論宗、華厳宗、律宗、倶舎宗、成実宗という南都六宗が学派として成立した。それらは、学問としての価値を持っていたが、現在に宗として伝わっているのは、法相宗・華厳宗・律宗である。そして、平安時代に至ると天台宗と真言宗という二宗が台頭することになる。更に、天台宗からは鎌倉仏教の祖師達を輩出し、現代に至っている。現在の宗派は極めて多彩であるとしても、同時に、仏教の基本的区分からは幾つかに分類される。本講義では、現在に生きる宗派を念頭に置きつつも、必ずしもそのことのみにとらわれず、学派的な宗の意義を考慮した上で、三人の担当者が、それぞれ二宗の解説を行う。本年度は、浄土宗・浄土真宗・日蓮宗・倶舎宗・法相宗・禅宗を解説する。(コーディネーター、大久保良峻)授業の到達目標日本仏教は、一口に仏教と言うとしても、各宗が独自の特色ある教義を提唱しているのであり、基本的な思想を理解する。そして、それぞれが、日本の思想や文化に対して多大な影響を与えてきたことについての知識を持つことも目標とする。成績評価方法試験0%なし。レポート70%講義の内容に関するテーマを提示する。平常点30%参加状況を考慮する。その他0%特になし。科目名東洋思想特論中国仏教史担当者名櫻井唯東哲コース2単位秋学期無フルOD2年以上―合併科目フルオンデマンド授業概要インドの宗教であった仏教が東アジアに深く根付いたのは、中国における漢訳仏典の成立とその修学・実践に負うところが大きいと言えます。中国仏教を通史的に把握しようとするとき、古代より編纂されてきた仏教史書が基礎資料となりますが、その記述は必ずしも歴史的事実と一致するとは限りません。特に、東アジアの仏教では、自らの思想がインドに由来することが正統性の根拠となったことから、各宗で開祖から連なる師弟関係の系譜(祖統)が形成されました。しかし、今日ではこのような祖統に基づく伝統的な仏教史観は再考を求められています。本講義では、こうした視点を念頭に置きながら、中国において多彩な宗派・学派が生まれ発展した歴史を学びます。各回の授業は、一つの時代あるいは宗派・学派の思想的展開をテーマとしつつ、多角的な視点から理解を深められるよう、その時代背景や同時代の他派との関係性などにも触れていきます。本授業は全回オンデマンド授業として実施します。※曜日時限は無フルODとなり、教室は配当されません。授業の到達目標中国仏教の歴史的展開を把握し、インドから伝来した仏教がどのように受容され、変容したのかを理解する。成績評価方法試験0%実施しない。レポート70%学期末に提出するレポートの内容によって評価する。平常点30%毎回の授業についての感想などをレビューシートに入力することを求める。その他0%なし科目名インド思想史インドの諸学派における理論と実践担当者名山部能宜東哲コース2単位秋学期金曜日2時限2年以上―合併科目―授業概要多くの日本人にとってもっとも馴染み深いインド思想は仏教思想であろうが,仏教思想がそれを取り巻くインド思想の大きな講義―146―

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