学部入学案内
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多元的な文化の様相を学び、自らを見つめ直す中国近世の宗教、特に道教を専門に研究しています。中国において道教は、儒教や仏教と並んで根本にある倫理的・宗教的伝統の一つですが、研究の歴史は比較的浅く、いまだ謎に満ちた伝統と言えます。身体・生命をかけがえのないものと考え、それ自体が社会道徳の基礎だと説く道教の思想は、世界屈指の経済大国となった現在の中国でも、今なお人々の生活感情の奥深くに流れています。そして、その思想に由来するおおらかな優しさや懐の深さが庶民の文化に根付いていると感じます。道教自体、多様な人々が関わる多元的伝統ですが、儒教仏教と共に中国の多元的伝統を形成しています。このように、思想・宗教を含めた多元的な文化の様相を学ぶことは、その地域に生きる人々の伝統的価値観の深層部を理解する助けとなり、同時に、私たち自身の価値観を見直す重要なツールともなり得ます。アジアの国々で長い年月をかけて築かれた「人とは何か」という普遍的な考え方に触れ、その問いへの自分なりの答えを探し求めてほしいと思います。世の中の「わからなさ」に惹かれる感覚を大切に人間の多様性を知ることを目指す多元文化論系の学びにおいて、私が大切だと考えているのは、答えを急いで見つけようとしないことです。一つの価値観や、一本の歴史的筋道では把握できない、多元的な物語の絡み合いでこの世界は成立しています。他者と共に暮らすなかで起こるさまざまな問題について、まずは起きていることをそのまま受け止め、「私たちの世界はいったいどうなっているのだろう」と頭を悩ませるその過程が大事なのだと思います。いろいろな時間、空間へと思索の旅をしながら、自分の常識を裏切る物事や発想に出会い、それぞれに事情があることを了解する。それが多元文化論系の学びです。現在の日本の日常生活も、都市部・非都市部を問わず、外国から来た多くの人々に支えられ、まさに多元的様相を呈しています。多元的な視座をもつことは、今後の日本を生きる上での必須の課題となるでしょう。「わからなさ」に惹かれる感覚を大切に、回り道をしながら学び深め、自分自身をも深く耕してほしいと願っています。「人とは何か」「他者とは何か」回り道をし、深く耕しながら自分なりの答えを探ろうMESSAGE FROM PROFESSOR基礎を知り、専門を磨く1・3制カリキュラム1年次の基礎教育を経て、2年次から論系へ進級する「1・3制カリキュラム」を導入。1年次は論理的思考能力・表現能力の基礎を養う演習や講義、充実した外国語学習のための基礎外国語・必修英語などを重点的に履修します。2年次以降は6論系に分かれ専門性を磨きます。各論系にはきめ細やかで徹底した少人数教育を行う専門演習が40前後設置され、3年次からの論系ゼミの選択により、ゼミ論文・卒業研究へつなげていきます。※ 多元文化論系 Global Studies in Japanese Cultures Program(JCulP:国際日本文化論プログラム)は英語学位プログラムのため、別のカリキュラムになります。他に類を見ない多種多様な「ブリッジ科目」文化構想学部と文学部は、外国語科目と講義科目を「ブリッジ科目」として共有しています。両学部を合わせたスケールメリットを最大限に活かして約1,000科目を設置。古典から新領域まで学ぶことができ、自分自身の興味に合わせてダイナミックな学問の広がりを体験できます。進級後も所属論系を超えて多彩な学問分野へアクセス可能なことから、ゼミや卒業研究で取り組むテーマも多角的な視点で考察できます。森 由利亜Mori Yuria文化構想学部 多元文化論系 教授文化構想学部School of Culture, Media and Society必修基礎演習基礎講義必修科目学習段階春秋4年次3年次2年次1年次選択科目選択基礎演習基礎学習論系進級・専門演習春秋春秋春秋学習段階春秋4年次3年次2年次1年次基礎学習コース進級・専門演習春秋春秋春秋ブリッジ科目(講義)、全学オープン科目等基礎外国語必修英語専門演習選択外国語・選択英語ゼミ論文・卒業研究必修基礎演習必修科目選択科目選択基礎演習ブリッジ科目(講義)、全学オープン科目等基礎講義基礎外国語選択外国語・選択英語卒業論文部専門演習部論系選択論系ゼミ(選択制)コース選択必修英語※カリキュラムは変更になる可能性があります。※カリキュラムは変更になる可能性があります。■ カリキュラムの特色61

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