学部入学案内
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過去を振り返ることで浮かび上がる普遍的なテーマアメリカで生まれ育った私が英国の歴史に関心を向けるようになったのは、子どもの頃から英国作家の小説に親しんできたことが大きく影響しています。大学進学後、英国史を専門とする素晴らしいアメリカ人教授と出会えたことにも勇気づけられ、この分野で博士課程まで研究を続け、その後、縁あって2010年に来日し早稲田の教員になりました。英国史の中でも私の専門は19、20世紀の英国文化思想史で、特に今注目しているテーマが理性と感情の関係性です。例として1930年代、英国の知識人たちは、独裁政権下のドイツやイタリアで人々が理性ではなく感情によって支配されるさまを目の当たりにし、英国が同じ状況に陥らないための教育のあり方を模索しました。この理性と感情の問題は今日にも通じ、例えばEU離脱に関して、人々の感情が投票結果にもたらした影響は少なくないでしょう。日本でも憲法改正の是非について、多くの日本人が強い感情を示します。このように時代や地域を越えた人間の普遍的なテーマを見いだせることも、歴史を学ぶ醍醐味と言えます。異文化研究と同じように歴史を多角的に捉える大学で歴史を学ぶ上で重要なのは、データを暗記することでは決してなく、歴史的に考察する力、言い換えれば、過去を違った角度から捉える力を磨くことです。その具体的な方法は授業で詳しく説明しますが、一つ重要なポイントを挙げると、歴史研究には異文化研究の側面があるという事実です。つまり、過去の時代の人々は、文化や習慣、政治、経済などあらゆる面で今とは異なる環境に身を置いていたこと、そして一方で、私たちと変わらない人間であることを、まずは認識することが大切です。また、歴史を深く学ぶと、一つひとつの事象の裏には非常に複合的な要因があることに気づくでしょう。歴史を振り返り、この世界の複雑さを知ることは、より良い未来を目指す上でも不可欠だと私は考えます。国際教養学部では幅広い開講科目を通して、異なる地域を比較したり他分野と組み合わせたりしながら歴史への理解を深めることができます。国籍も価値観も多様な仲間と学ぶなかで、自らの歴史への見方が大きく変わる、そんな知的興奮をぜひ体感してほしいと思います。未来を考えるために重要なのは歴史を読み解く力を磨きこの世界の複雑さを知ることSTERENBERG, Matthew Kane国際教養学部 准教授MESSAGE FROM PROFESSOR英語による授業と演習(ゼミ)教育の重視多様なバックグラウンドを持つ教員と学生が自由に討論し、相互理解を深めていく環境そのものが、国際社会でのコミュニケーション能力を養うことに通じると考え、ほぼすべての授業を英語で実施しています。また、1年次から設置されている演習(ゼミ)では、学生と教員の比率を20:1を基本とする少人数教育を行っています。活発な議論、対話、質疑応答やプレゼンテーションを通じて、英語で学び、考え、発信する力を養います。1年間の海外留学が必須キャンパスを異なる文化・歴史・背景・言語を持った世界の学生が交流する場として捉え、海外の教育機関と密接な連携を図っています。日本語が母語の学生は、外国の大学等に1学年相当期間留学することが必須となっています。700以上の協定校から留学先を選べるほか、国際教養学部の学生限定の留学プログラムも用意しています。海外留学中の単位は卒業必要単位として認定されるため、原則として4年間で卒業することができます。国際教養学部School of International Liberal Studies共通基礎科目/専攻科目/留学準備講座/全学オープン科目/他箇所・他機関設置科目/海外学習期間習得科目海外留学(必須)教職課程科目/北京設置科目/大学院先取科目 など上級演習上級科目卒業研究中級科目その他外国語入門統計学英語Ⅰ/英語Ⅱ/英語Ⅲ中級科目入門科目基礎演習A基礎演習B中級演習自由選択科目共通基礎科目専攻科目第1セメスター第2セメスター第3セメスター第4セメスター第5セメスター第6セメスター第7セメスター第8セメスター4年次3年次2年次1年次発展科目必修基礎演習基礎講義必修科目学習段階春秋4年次3年次2年次1年次選択科目選択基礎演習基礎学習論系進級・専門演習春秋春秋春秋学習段階春秋4年次3年次2年次1年次基礎学習コース進級・専門演習春秋春秋春秋ブリッジ科目(講義・選択英語・選択外国語)、全学オープン科目等基礎外国語・必修英語専門演習論系ゼミ(選択制)ゼミ論文卒業研究必修基礎演習必修科目選択科目選択基礎演習ブリッジ科目(講義・選択英語・選択外国語)、全学オープン科目等基礎講義基礎外国語・必修英語卒業論文部部専門演習部論系選択コース選択■ カリキュラムの特色53

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