学部入学案内
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政治学と経済学の融合政治学と経済学がひとつの学部に編成されている例は世界でも多くはありません。それぞれの専門的な教育を受けつつ、政治と経済双方の視点から両者が複雑に絡み合った現代社会のメカニズムを考究していきます。2019年度から導入した新カリキュラムでは、PPEの理念に基づく政治学と経済学の融合、日英両言語によるハイブリッド教育が一層進みます。マルチカルチュラルな教育空間で、多様な学生と切磋琢磨しながら、優れた理解力、分析力、思考力、提案力を身につけることができます。段階を追って学びを深める基礎から段階を追って、体系的により専門性を深めた学習ができるカリキュラムです。学科共通必修科目を通じて、すべての学生が基礎となる分析手法・方法論等を修得します。さらに、科目区分ごとに入門~中級・基礎~上級・専門科目があり、その位置づけを明確にしています。ゼミは少人数教育を徹底し、1年次の春学期に始まる基礎演習から、アカデミック・リテラシー演習をへて、 「政治学」「経済学」「国際政治経済学」「ジャーナリズム・メディア」 「学際領域」の各専門演習へと進みます。留学や将来のキャリアを見据えて、英語開講の科目や演習(Intermediate/Advanced Seminars)を履修することもできます。ノーベル賞で注目され始めた空間経済学新設科目である空間経済学は、経済活動に地理空間がどのような意味を持つのかを解明するための学問です。都市や地方といった空間や国境を越えたグローバルな空間の諸問題に挑みます。例えば、リニア新幹線などの輸送技術、情報通信技術、貿易政策など、モノやヒトの移動 に関わる技術的、政策的な地理的コストの要因がどのような影響を持つのかを見ていきます。2008年にポール・クルーグマンが「貿易パターンと経済活動の立地に関する分析」でノーベル 経済学賞を受賞したことで注目されました。自然科学で観測されるような普遍性が都市の分布などの経済現象にも当てはまり、自然科学で発展した工学的な分析手法が経済学に取り入れられました。経済学の理論的アプローチとともに、インターネットの普及などによって蓄積されるようになった膨大なデータを分析し、実証することでメカニズムを解明します。私自身は、前述の地理的コストを、人と人、企業と企業のつながり、ネットワークといった要因で紐解き、立地や貿易パターンを見るという新しい視点を得ています。地理的コストやマクロ情勢は時代とともに大きく変わってきています。このような時代の変化に対し、導き出されたメカニズムから、国内における都市と地方の問題や全世界の動きが包括的に推測できるようになるのが空間経済学の醍醐味です。異分野の融合が次の大きなステージに経済学は、世の中の役にたつことを目的とする学問です。人を分析対象としていることから、かつては文系の学問という印象がありましたが、私のように物理など自然科学系の出身者も増えています。ものごとを簡略化してメカニズムを探るという点は同じです。メカニズムを知ることによって、インフラ整備などの都市計画、産業政策、貿易政策などにおいてどのような政策を行えばよいのかを考えられます。政策立案の現場ではエビデンスに基づいた政策の重要性が認識され、空間経済学の観点から、経済産業省、国土交通省、文部科学省の政策研究に関わってきました。早稲田大学は、最先端を行く研究者や外国人研究者に、留学生といった多彩な人がいる場所であり、政治経済学でも、文系、理系の両方が融合することによって新しい視点が生まれ、発展していくことでしょう。学生には、それぞれに違った個性を持つ人が集まっていることを楽しみ、充実した学生生活を送ってほしいと思います。空間経済学などを通して、世の中をどう見るのかという視点を養い、科学的にデータを分析・検証する力、ものごとを冷静に判断する力を身につけてください。空間経済学は、異分野の融合によって発展した比較的新しい研究分野MESSAGE FROM PROFESSOR齊藤 有希子Saito Yukiko政治経済学部 准教授政治経済学部School of Political Science and Economics■ カリキュラムの特色人文系、社会系、自然系、数理情報系、総合系、体育系必修科目選択科目全学部対象科目教職課程科目、図書館司書・学校図書館司書教諭関連科目、博物館学芸員関連科目外国語A(ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、朝鮮語)外国語B(英語)各種演習・専門演習論文演 習現代政治/比較政治/国際関係公共政策/政治思想・政治史政治学経済理論/経済思想・経済史経済政策/国際経済経済学グローバル科目学術的文章の作成/外国語科目/日本を知るための科目/学際研究/キャリアデザインジャーナリズム・メディア/法学/会計学・経営学/自然科学/社会科学/人文科学入門科目中級・基礎科目上級・専門科目学系Ⅰ[80名]進学定員学系Ⅱ[350名]学系単位で入試を実施学系Ⅲ[120名]● 数学応用数理● 機械科学● 電子物理システム学● 情報理工・情報通信● 表現工学● 材料科学※学部・大学院の6年一貫教育数理科学の基礎と基礎工学を十分習得した上で、専門を学ぶ1~4年次1年次4年次3年次2年次学部共通科目外国語科目専門教育科目自由選択科目随意科目実証分析/ゲーム理論/数学分析手法・方法論30名140名80名30名30名60名50名30名50名50名数学、物理学、情報、語学を中心とした統一カリキュラム週1時間の学系別専門科目6専攻大学院数学科応用数理学科機械科学・航空学科電子物理システム学科情報理工学科情報通信学科表現工学科基礎演習 公共哲学(政治)政治分析入門ミクロ経済学入門マクロ経済学入門学科共通必修科目統計学Ⅰ/Ⅱ2年生進級時に学科選択(進級振り分け)どの学科が自分に合っているか、1年間勉強してから専門分野を決定4年次3年次2年次1年次23

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