学部入学案内
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日本史を専門とする教員を目指し、日本史の確かな知識に加え、歴史の結果である現代の国際関係まで理解したいと思い社会科学部に入学しました。そこで日本と中国の外交史を双方の視点から研究する劉傑先生と出会い、日中戦争前に両国の関係が困難さを増す中でも関係 改善に努めた人々の存在など、歴史の表舞台に出にくい事実の再評価に興味を持ちました。 学部のゼミでは主に日本国内の資料をもとに戦争勃発前の両国政府の考え、国内世論、 相手国の捉え方などを研究。しかし、中国の考えを中国語の文献から読み解く機会が 少なく、より専門的に研究したいとの思いから大学院に進学しました。現在は台湾に 残る史料や中国進出を図った日本企業の内部資料等も参考に、民間レベルで模索して いた経済協力の様子を丹念に調べ直しています。早稲田の図書館には中国関連の歴史的史料が豊富で、こうした研究に役立っています。今の時代だからこそ研究できる史料 もあり、経済を通して日中戦争を回避しようとする動きの詳細を明らかにできる ようになりました。当時の経済界の人脈は戦後の日中協力に活かされ、改革開放 政策下の経済協力が中国の発展につながるなど、今に影響を与えていることが わかります。修了後は教員となり、過去をもとに未来を考える歴史学習の魅力を多くの人に伝えたいと思います。Student's Voice矢野 真太郎社会科学研究科博士課程2年2015年社会科学部卒業東京都・桐朋高校出身中国語文献も活用し戦前の日中関係を研究民間企業が果たした役割の再評価をしたい堀 明日香スポーツ科学研究科修士課程1年2018年スポーツ科学部卒業広島県立世羅高校出身中学生から続けてきた陸上競技でけがや障害で引退する選手を見て、コンディション調整や障害予防を医科学的に研究してみたいとの思いでスポーツ 科学部に入学しました。早稲田は最先端の研究テーマとそれを支える設備 が整い、先生方も国のプロジェクトへの参加や選手育成を担うなど実務家が 多く、知見が社会で活きることを実感しながら研究できる点も魅力です。私は スポーツ科学を基礎から学んだ後、2年次後期からは鳥居俊先生の運動器 スポーツ医学研究室で、DXA装置という精密測定装置なども使ってアスリートの トレーニングと骨密度等の体組成の関係を研究しています。以前の研究では競技種目によるトレーニングの違いがアキレス腱の形態に影響するのではないか?と いう仮説を立て、周囲の選手を対象に調査を行いました。仮定を実証する結果は出な かったものの、こうしたテーマは選手たちも協力的で関心も高いと実感しました。私 自身も仮説から検証まで研究に必要なプロセスを体験できたのはメリットでした。現在 は膝の軟骨と運動経験の関連性に着目した研究を計画中で、あまり研究されなかった テーマだけに新たな発見に期待しています。将来はアスリートのスポーツ障害から一般の 方の健康へと視野を広げて、そこで暮らす人々の健康寿命の延伸や介護予防など、健康にも 配慮した街づくりに携わることも考えています。スポーツ障害と体組成についての研究が一般の人を健康にする環境への興味に発展111大学院

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