学部入学案内
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分散人工知能を用いて社会の複雑な問題を解決する 我々の日常生活はもちろん、企業組織や市場取引のあり方などはコンピュータ・ネットワークの発展により大きな変化を遂げてきました。最近では、コンピュータに学習能力を備えさせるための研究や、計算のためのリソースの豊かさを活かしたビッグデータの利活用にかかわる研究などが注目されています。私が主に研究しているのは「分散人工知能(Distributed Artificial Intelligence)」に関する分野で、複数の自立的に動作する要素を連携させることにより、優れた仕事を効率的かつ低コストで実現させることを目指しています。「経営システム」という研究領域については文理融合の側面もありますが、コンピュータを用いた情報科学(コンピュータサイエンス)の立場から働きかけるという点で、文系で学ぶ「経営」とは共通の課題認識ながらアプローチが異なる学問と考えてもらうといいでしょう。 例えば、コンビニやスーパーの売り上げを伸ばしたいという課題に対して、文系のアプローチで代表的なのは、モノが売れるための条件や消費者の購買心理など、マーケティングの観点からの研究です。一方、理工的なアプローチではレジのシステムから顧客情報をリアルタイムで収集し、解決策を模索する手法をとります。こうした情報処理技術は、ネットショッピングの購入履歴やインターネット上で閲覧している情報を分析し、その人が欲していると思われる商品を表示させるといったことなどにも応用されています。実学のためには理学や工学の区別は重要ではない 創造理工学部は建築、機械、情報、環境などの科学技術をより高度化し、豊かな社会づくりに貢献することを目的とした“実学”を重んじる学部です。実学のためには、理学や工学の区別は重要ではない。これは3つの理工学部の前身である理工科を設置した大隈重信の理念でもあります。そのため、学部の授業で企業との連携を通して学べるワークショップ型の演習を多く実施するなど、教室での学びを社会で実践できる場が用意されています。私たちの身近な生活の裏には、理工学の知識や技術がなければ成り立たないものが多く存在します。ぜひ、単に数学や理科が苦手だからという理由で理系分野への進学を断念するのではなく、自身が社会でどう活躍していきたいかという観点を持ってほしいですね。 早稲田は文理の学部の垣根を超えた学生の交流も非常に盛んです。私の研究室には商学部や文化構想学部の学生と一緒に、早稲田祭でスマートフォンを用いた企画動員促進などに取り組み、それを卒業論文にまとめている学生もいます。多様な学生や教員陣から得られるシナジー効果は日本随一の総合大学であるからこそのもの。ぜひ、社会のいかなる分野でも活躍できる素地を培う学生時代を過ごしてほしいと思います。多様な学生や教員陣から得られるシナジー効果を大切に社会のいかなる分野でも活躍できる素地を培ってほしい菱山 玲子 Hishiyama Reiko創造理工学部 経営システム工学科 教授創造理工リテラシー創造理工学部では、全学科の新入生を対象として、入学直後の春学期に、創造理工の学生として不可欠なコミュニケーション力やプレゼンテーション力、文章表現力といったスキルや、知的財産や技術倫理といった倫理観を醸成するための5学科横断科目を提供しています。大人数の講義と、少人数による演習を交互に繰り返すことによって、分野の違う学生同士が議論を重ねるうちに、さまざまな考え方を体感しながら友情を育み、豊かな学生生活を送るきっかけとなります。また、プレゼンテーション演習では3〜4名のグループでエネルギー問題等の身近なテーマに取り組み、優秀者には「学部長賞」が授与されます。■ 時間割モデル 【環境資源工学科1年生の例】月火水木金土1時限 9:00 10:30創造理工リテラシー微分積分英語化学2時限10:40 12:10理工学基礎実験ⅠA微分積分3時限13:00 14:30線形代数仏語ⅠB4時限14:45 16:15地球科学科学・技術の社会史力学5時限16:30 18:00環境資源工学の展望生命科学概論6時限18:15 19:457時限19:55 21:25■ PICK-UP CLASSMESSAGE FROM PROFESSOR※掲載されている情報には2017年4月時点で名称変更があったものや 開講されていないものが含まれます。106

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