経営管理研究科
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Professor's Interview杉浦 早稲田大学ビジネススクール(WBS)が新体制となって3年目に入りました。2016年4月に、それまでの商学研究科ビジネス専攻とファイナンス研究科が統合し、「経営管理研究科」として新たにスタートしたわけですが、その効果は着実に表れていると感じます。竹原 私も同感で、外部評価の高さもそれを物語っています。一例として、国際的な高等機関を専門とする格付け機関Eduniversalが発表した2018年ランキングで、WBSは国内のビジネススクール第1位に選出されるなど、極めて高い国際評価を得ています。教育のレベルの高さでは国内ナンバーワン、アジアでもトップレベルだと自負しています。杉浦 新体制となって生じた具体的な相乗効果の1つは、2つの組織が融合したことにより、学生にとっての科目の選択肢が大きく広がったことです。科目数はもとより豊富だったのですが、統合後は全日制・夜間主あわせて約240(夜間主のみでは約160)に上る選択科目から、自らの関心や専門性に沿って学びを進めることができるようになりました。ビジネスとファイナンスの双方に学びの門戸が開かれて、経営を総合的に学びたい人にとっては、より魅力的なプログラムとなっています。竹原 実際に私が担当するコーポレート・ファイナンスや統計学の講義は、マネジメントを中心に学ぶ夜間主総合の学生も多く受講しています。また逆に、ファイナンス専修の学生も、関心に応じてジェネラルマネジメントの知識を身に付けることが可能になりました。幅広い知識をバランスよく学ぶことも、専門分野を深く掘り下げて学ぶことも両方できるWBSは、まさに「T字型」人材としての強みを磨ける環境だと思います。杉浦 夜間主プロフェッショナルでは、マネジメント専修とファイナンス専修の学生とが交じり合って授業を受ける機会も多く、互いに刺激し合う相乗効果が生まれていると感じます。ディスカッションを行う際も、より多角的な側面から意見や知見を出し合うことができ、議論に奥行きが生まれています。私のゼミには、「経営はつまるところ『ひと』と『組織』だ」と考える学生たちが集まっているのですが、それと同時に、「ビジネスはつまるところ『業績』だ」というのも、紛れもない事実です。ファイナンス科目が充実していることは、マネジメント志向の学生にも大きなメリットであり、ビジネススクールとしてもバランスのとれた、あるべき形と言えます。竹原 より多様なバックグラウンドを持つ学生や修了生との間で、非常に幅広いネットワークを築けるようになったことも、組織統合の効果に挙げられます。社会人が多い夜間主プログラムの学生と、留学生が約7割を占める全日制プログラムの学生の両方が履修できる日英科目も土曜に設置されていて、こうした機会を通じて、日本人の学生と留学生との間にも活発な交流が生まれています。業種や職種、世代や国籍の枠も超えて人とのつながりを広げられる機会が豊富にあり、在学中に培ったネットワークは、卒業後も長く続く財産となるはずです。杉浦 日本にいながらにして、語学のスキルやグローバルな視点を身に付けられる環境が整っていることはWBSの大きな魅力ですね。またWBSは現在、海外トップスクール32校と学生交換協定を締結していますが、この数は将来的にさらに増やしていく「質の高さ」と「規模」 早稲田のMBAプロ杉浦 正和 教授京都大学(社会学専攻)卒業後、日産自動車に入社。海外マーケティング業務などを担当。1988年米スタンフォード大学ビジネススクールに留学しMBAを取得。外資系経営コンサルティング会社(ベイン&Co.、およびマーサー)を経て、シティバンクにてリーダーシップ開発責任者を務めた後、シュローダーにて人事部長および確定拠出年金部長を務める。2004年より早稲田大学で教鞭を執り、2008年より現職。専門は、リーダーシップ開発、人材マネジメント、人材育成、組織マネジメント、組織開発、人事制度。主な著書に『入社10年分のリーダー学が3時間で学べる』(日経BP、2017年)、『MBA・つまるところ人と組織だと思うあなたへ』(同友館、2014年)などがある。多様な学生が集うことで奥行きのある議論が実現6

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