法務研究科
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実務体験を通じ、真の法曹を養成する教育プログラム「臨床法学教育」 優れた実務家法曹を養成するための理論と実務の架橋をめざし、設立時から注力している特徴的なプログラムのひとつに「臨床法学教育」があります。座学では得られない実際の現場での法サービスに接することで、法曹に求められていることを体感し、真の法律家とは何かに立ち返る場でもあります。「臨床法学教育」の主要な柱である「リーガル・クリニック」は、大学附設の法律事務所「弁護士法人早稲田大学リーガル・クリニック」や外部の法律事務所で、実務家教員・研究者教員の2名と数名の学生が1グループを作り、実際の依頼者の案件に接しながら、法実務の実際を修得します。市民の法律相談や事件に接することで、学修中の法知識の重要性を確認 「リーガル・クリニック」は、民事、家事・ジェンダー、刑事、労働、外国人、行政、商事、障害法の8つの分野から構成されています。教員の指導のもと、学生自身が相談を受け付け、事案の分析や法的理論の構築を行い、相談者へ回答します。また実際に案件を受任した後も、証拠収集、訴状や各種文書の作成を行い、証人尋問に際しても尋問事項の作成、証人や当事者との打合せ、関連調査や裁判傍聴、相手方との交渉まで、解決に至るほとんどのプロセスを学生主体で行っています。この活動を通じ、事案に対する包括的な知識力、問題解決のためのアドバイス能力などを養い、学修中の法知識が実際の現場でどう活きるのかを学びます。・学生自身による法律相談(判事の場合は接見)・現場調査・関係機関との交渉・法令・判例調査・文書(内容証明)作成・裁判手続の文書作成「リーガル・クリニック」の学生の活動2018年度履修者数:62名2018年度履修者数:79名 (試行プログラム参加者含む)本研究科における「エクスターンシップ」の受入先計56機関 (2018年度実績)11WASEDA LAW SCHOOL臨床カリキュラム-Ⅰ リーガル・クリニック臨床カリキュラム-Ⅱ エクスターンシップ実際の事案や人との出会いが、なりたい法曹像を具現化 本研究科のエクスターンシップでは、実際の現場に学生を派遣し、幅広い法サービスに触れることにより、それまで机上で学んできた理論を実務として昇華させるとともに、将来活躍したい分野を見極める貴重な臨床カリキュラムを提供しています。実際に社会や個人に生起するさまざまな案件を通じて、問題解決のために奮闘する経験や、実務家やクライアントとの貴重な出会いが、将来めざす法曹像を具現化する大きな一助となっています。適切な法サービスを行うための、実務感覚、倫理観、社会的責任と向き合いながら、優れた法曹の育成を目指しています。一人ひとりが望む現場へ、早稲田の誇る多彩な受入先 将来を見据えた有効な実務体験を実現するためにも、「早稲田大学法務教育研究センター」や本学出身の「稲門法曹」の強いネットワークにより、豊富な受入先を用意しています。一般企業においては、商社、サービス業、金融系、IT系、知的財産を扱う企業など、法律事務所においては、多様な事案を扱う事務所や全国各地の法律事務所など、官公庁や国際機関、各種団体とあわせ、専門的で幅広い受入先の拡充に注力しています。本研究科でも実績のある官公庁への派遣では「霞が関法科大学院生インターンシップ」制度により、各府省における実務体験への門戸が開かれています。法実務の現場に入って実践力を養成実務体験を通して求められる法の力を理解法律事務所(外国法事務弁護士事務所を含む)45ヵ所企業法務部(新日鐵住金、ソフトバンクグループ 他)4ヵ所各種団体(経団連、家庭問題情報センター 他)3ヵ所官公庁(経済産業省、総務省)4ヵ所派遣前の充実した研修セミナー エクスターンシップ派遣前には、基本的なビジネスマナーを修得するセミナーや、受入先となる法律事務所の弁護士の方から話を聞く機会などを用意しています。 法律専門職で働くうえで学生に求める自覚と行動規範について、実際に学生を受入れる側の視点からの話を聞くことができるため、しっかりと準備をしたうえでエクスターンシップに臨むことができます。早稲田リーガルコモンズプロジェクト(WLCP)研究科が輩出した人材群が、次の人材群を育成する 本研究科を修了した弁護士が中心となって設立された早稲田リーガルコモンズ法律事務所と連携し、学生に最前線の実務に触れながら教育を受け、多様な分野への進出を後押しする。それが早稲田リーガルコモンズプロジェクト(WLCP)です。 プロジェクトの第一の柱は、法務研究科院生に対する「次世代法曹育成プログラム」です。法務研究科のソーシャル・イノベーター・コースのカリキュラムとして位置付けられ、ケーススタディを用いて模擬的実務を経験するエクスターンシップ・プログラムや、未修者を対象とした「法実務入門」の科目を通して実務テーマに触れる機会を作ることで、院生と実務をつなぐ架け橋を目指します。 第二の柱は、「アソシエイト制度」です。早稲田リーガルコモンズ法律事務所では、毎年本研究科の修了生を複数名アソシエイトとして受け入れています。この制度では、最長3年間にわたり、多様な専門分野を持つパートナー弁護士と共に多くの事案に取り組むことで、法律家としての基礎を学び、社会に貢献できる法律家として飛躍することを目指した人材育成を行っています。河﨑 健一郎http://legalcommons.jp/早稲田リーガルコモンズ法律事務所弁護士・代表パートナー(2007年 本研究科修了)Curriculumカリキュラム

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