文学研究科シラバス2021
2/425

科目名哲学史特殊研究1西洋古代・中世哲学における意志と行為の概念史(続)――ストア派からアウグスティヌスへ(その2)担当者名荻野弘之哲学コース2単位春学期金曜日3時限1年以上―――授業概要人間の行為の基本的構造に関わる諸問題を考える。感情、欲望など非合理性を問題にする。英語圏ではmoralpsychologyと呼ばれる学問分野。昨年度はアウグスティヌスの告白第8巻を精読したが、今年度も引続いて、ギリシア哲学とキリスト教が共有する選択と意志に関わる問題群を取り上げる。人間が(知りつつ)悪をなすという、ごく日常的な事態を、どのように捉えたらよいのか。宗教が入ってくると、罪やゆるしの概念が加わることで、主知主義的な構図がどのように変わるだろうか。以下のような問題を意識しながら、主要なテクストを精読するとともに、関連する研究書や文献を参照する。・合理的な選択と、行為の非合理性の関係をどう考えるか。・ヘレニズム時代の、特にストア派の行為論と、その特徴をどう理解するか。・アウグスティヌスの意志の概念との比較。古代/中世哲学を専攻とする以外の学生も歓迎する(ギリシア語・ラテン語の知識は必ずしも前提しない)。小人数が予想されるので、受講者の希望と関心に応じて、取り扱う主題、テキスト、進め方に適宜の変更を加える。受講者の予備知識に応じて、原典、邦訳、註解書・参考書(英文)を併用して進める予定。昨年からの継続受講者、新規参加者、いずれも歓迎する。授業の到達目標(1)哲学的な基本概念の正しい理解。(2)通時的な概念史への素養の涵養。(3)現代哲学で扱われている問題との対照。(4)テクストの正確な読解能力の養成。(5)明快で的確な日本語表現の涵養。(6)参加者間の討議による理解の深化。成績評価方法試験0%試験は行わないレポート0%行わない平常点90%小人数が予想されるため、試験やレポートではなく、出席状況と平常点でのみで採点する。その他10%出席状況は考慮する。対面授業を予定しているが、感染状況によってはオン・ラインの可能性もある(ZOOM使用)。科目名哲学史特殊研究2ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考の研究担当者名博士(文学)東大伊佐敷隆弘哲学コース2単位春学期金曜日2時限1年以上―――授業概要ヴィトゲンシュタイン(LudwigWittgenstein,1889〜1951年)はオーストリアで生まれ,イギリスのケンブリッジ大学で活動した20世紀を代表する哲学者である。言語の有意味性の根源,世界の根本構造,独我論や心的作用,数学の基礎などの哲学的難問について深い探究をおこなった。論理哲学論考(1921年刊)を中心とする前期ヴィトゲンシュタイン哲学と哲学探究(1953年刊)を中心とする後期ヴィトゲンシュタイン哲学の間には連続性と不連続性があるが,今年度は論理哲学論考(論考)を丁寧に読み,前期ヴィトゲンシュタインが何をどのように問題にしていたかを明らかにする。授業の到達目標・前期ヴィトゲンシュタインが何をどのように問題にしていたかを理解する。・哲学的問題について自分自身の頭を使って考察することができるようになる。成績評価方法試験0%レポート0%平常点100%出席、訳読、討議への参加度を総合的に評価します。その他0%備考・関連URL・第1回から第7回まではオンライン(テレビ会議)で実施します。第8回から第15回までは教室で直接対面して実施する予定です。(ただし、新型コロナの感染状況に応じて変更する場合があります。)・テキストを読んで疑問点をお互いに出し合い、ディスカッションをおこないます。・自分の頭で考える意志があれば,予備知識や語学力は問いません。・受講希望者は第1回(4月9日)より前に担当教員まで必ず連絡をしてください。・教員への連絡は下記アドレスまでメールでお願いします。[email protected]哲学コース―3―

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る