文学研究科シラバス2021
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科目名日本文学演習7-1日本近世近代漢詩文読解演習担当者名博士(文学)早大池澤一郎日本語日本文学コース2単位春学期月曜日2時限1年以上―――授業概要日本近世後期から明治大正期にかけて、邦人が制作した漢詩文を読解する。本年度は昨年に引き続き梁川星巌と大沼枕山との漢詩文を版本について、読み進めるが並行して、近代早稲田の漢学三尊、桂湖村、牧野藻州、松平天行の漢詩文、その同時代人の漢詩文を適宜解読する。早稲田の漢学者はその文章の暢達を斯界で高く評価されていた。読解方法であるが、日本近世近代の漢詩人はほとんど中国語の発音を解せず、訓読という翻訳方法によって漢詩文(白文)を読みかつ作っていた実情にかんがみて、訓読による読解を行う。ただし、本文の理解を伴わない機械的な訓読はこれを厳に戒めたいので、高等学校などの漢文の学習手順とは違って、書き下し文を作ってから現代語訳をなすのではなくして、現代語訳を施してから訓読を作成することで、北京語で唐宋の詩文を直読することを最上とする中国学の近代主義と対峙する。また漢詩文が盛行していた時代には、文言文(白文)は訓読すれば、外国語ではなくして、日本語として把握されていたことも再確認に出来したい。また星巌も枕山も早稲田の漢学三尊も、扇面、色紙、掛け軸、書画帖で、今も肉筆の書を見ることが出来る漢詩人なので、彼らやその同時代人が作った漢詩文の中で草書でしたためられたものを随時掲示または配布して、日本漢詩文のみならず近世日本の書画や歴史研究に必須の草書の漢詩文読解能力の向上を目途とする演習を継続的に行う。これ読書人が草書を書けて読めた時代には、むしろ楷書(活字体)よりも草書のほうが日本人に親しみのある書体であり、名声のある学者の中にも草書は理解できるが、楷書が書けないという者もあった(浅野梅堂は荻生徂徠もそうであったという!)という実情が忘却され、現今の中国学が電算活字の席捲によって、活字でしか詩文を読めなくなり、草書で綴られた歴史的文学的漢詩文の資料を閑却しつつある現状に対して反省を迫るために維持向上させたい研究態度なのである。授業の到達目標参加者各自が本演習への参加を通して、草書を含めた日本漢詩文を解釈、訓読する基礎力を備え、さらに伝記的事項や典故の調査をすることが出来るようにすることを目標とする。成績評価方法演習への継続的参加と事前調査の熱意によって評価する。科目名日本文学演習7-2日本近世漢詩文読解演習担当者名博士(文学)早大池澤一郎日本語日本文学コース2単位秋学期月曜日2時限1年以上―――授業概要日本近世後期から明治期にかけて、邦人が制作した漢詩文を読解する。春学期に引き続き梁川星巌と大沼枕山と、その同時代人の漢詩文、桂湖村、牧野藻洲、松平天行をの漢詩文を版本または配印本について、読み進める。また同時に近世から近代にかけての漢詩人の肉筆原稿や書画に接して草書体の漢詩文を読む演習も行う。これは従来の日本漢詩文研究が中国古典文学研究の成果によりかかるあまり、活字による漢詩文解読に集中してしまい、草書の漢詩文資料を等閑に附する傾向にあったことを反省することによって始められたものである。草書の漢詩文読解力の涵養は日本文学のみならず、中国文学、日本、中国の美術史、歴史研究には必須のものと思われるので、それら東洋学に関心を寄せる学徒の積極的な参加を望んでいる。授業の到達目標参加者各自が本演習への参加を通して、日本漢詩文を訓読、解釈する基礎力を備え、さらに伝記的事項や典故の調査をすることが出来るようにすることを目標とする。また日本漢詩文のみならず近世から近代にかけての書画研究に必須の草書の漢詩文を読む力の涵養に努める。成績評価方法演習への継続的参加と事前調査の熱意の如何によって評価する。科目名日本文学演習8-1A1920〜80年代を中心に担当者名博士(文学)早大鳥羽耕史日本語日本文学コース2単位春学期木曜日3時限1年以上―――授業概要口頭発表をし、論文を書き、2年間で修士論文を仕上げられるよう、個別指導を中心に授業を進める。各受講者は、自身の研究テーマについて、少なくとも1回は報告をする。授業の到達目標1年生は研究方法と発表方法、論文の書き方を修得すること、2年生は修士論文の完成を到達目標とする。成績評価方法指導の結果完成した論文について、修士論文の一章としての価値を50%、学会における学術的貢献としての価値を50%として評価する。備考・関連URLこの授業は参加者と個々に相談の上で、研究室での対面、メール、zoomなど、最適の方法で進める。科目名日本文学演習8-1B1920〜80年代を中心に担当者名博士(文学)早大鳥羽耕史日本語日本文学コース2単位春学期木曜日4時限1年以上―――授業概要口頭発表をし、論文を書き、2年間で修士論文を仕上げられるよう、個別指導を中心に授業を進める。各受講者は、自身の研究テーマについて、少なくとも1回は報告をする。日本語日本文学コース―113―

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