【文学研究科】2019年度シラバス
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授業の到達目標主に中古・中世(平安後期〜鎌倉期)の和歌テクストを取り上げ、高度に専門的な注解の方法を修得する。成績評価方法発表内容と質疑への参加度による。科目名日本文学演習5-1義経記の本文研究担当者名博士(文学)早大和田琢磨日本語日本文学コース2単位春学期木曜日3時限1年以上―――授業概要義経記巻七の本文校訂を通して、判官物の展開について考える。発表者の用意した詳細なレジュメを元に授業を行う。授業の到達目標義経の北国落ちを語る義経記巻七は本文異同が激しく問題のある巻である。よって、諸本を丁寧に比較検討することを通して、義経記の研究史の検証を行うとともに、本文校訂の方法を学ぶ。また、中尊寺・國學院大學・国会図書館等所蔵の絵巻、幸若舞曲や他説話との比較を通して、広く判官物の問題について理解を深める。成績評価方法試験0%なしレポート50%各自で関心を持ったテーマに即したレポートを提出してもらう。平常点50%発表の内容、および質疑の内容による。その他0%なし科目名日本文学演習5-2平治物語の研究担当者名博士(文学)早大和田琢磨日本語日本文学コース2単位秋学期木曜日3時限1年以上―――授業概要金刀比羅本を中心に、平治物語を読む。古態本・古活字本との比較を通して、金刀比羅本の特徴を明らかにしていく。発表者には、詳細なレジュメを用意してもらい、それを基に議論を深めていく。授業の到達目標諸本との比較を通して、金刀比羅本平治物語の特徴を明らかにする。また、義経記との関係についても明らかにしていく。成績評価方法試験0%なしレポート50%各自で関心を持ったテーマに即したレポートを提出してもらう。平常点50%発表の内容、および質疑の内容による。その他0%なし科目名日本文学演習7-1日本近世近代漢詩文読解演習担当者名博士(文学)早大池澤一郎日本語日本文学コース2単位春学期金曜日2時限1年以上―――授業概要日本近世後期から明治大正期にかけて、邦人が制作した漢詩文を読解する。本年度は昨年に引き続き梁川星巌と大沼枕山との漢詩文を版本について、読み進めるが並行して、近代早稲田の漢学三尊、桂湖村、牧野藻州、松平天行の漢詩文、その同時代人の漢詩文を適宜解読する。早稲田の漢学者はその文章の暢達を斯界で高く評価されていた。読解方法であるが、日本近世近代の漢詩人はほとんど中国語の発音を解せず、訓読という翻訳方法によって漢詩文(白文)を読みかつ作っていた実情にかんがみて、訓読による読解を行う。ただし、本文の理解を伴わない機械的な訓読はこれを厳に戒めたいので、高等学校などの漢文の学習手順とは違って、書き下し文を作ってから現代語訳をなすのではなくして、現代語訳を施してから訓読を作成することで、北京語で唐宋の詩文を直読することを最上とする中国学の近代主義と対峙する。また漢詩文が盛行していた時代には、文言文(白文)は訓読すれば、外国語ではくして、日本語として把握されていたことも再確認に出来るであろう。また星巌も枕山も早稲田の漢学三尊も、扇面、色紙、掛け軸で今も肉筆の書を見ることが出来る漢詩人なので、彼らやその同時代人が作った漢詩文の中で草書でしたためられたものを随時掲示または配布して、日本漢詩文のみならず近世日本の書画や歴史研究に必須の草書の漢詩文読解能力の向上を目途とする演習を継続的に行う。これ読書人が草書を書けて読めた時代には、むしろ楷書(活字体)よりも草書のほうが日本人に親しみのある書体であり、名声のある学者の中にも草書は理解できるが、楷書が書けないという者もあった(浅野梅堂は荻生徂徠もそうであったという!)という実情が忘却され、現今の中国学が電算活字の席捲によって、活字でしか詩文を読めなくなり、草書で綴られた歴史的文学的漢詩文の資料を閑却しつつある現状に対して反省を迫るために維持向上させたい研究態度なのである。授業の到達目標参加者各自が本演習への参加を通して、草書を含めた日本漢詩文を解釈、訓読する基礎力を備え、さらに伝記的事項や典故の調査をすることが出来るようにすることを目標とする。成績評価方法演習への継続的参加と事前調査の熱意によって評価する。日本語日本文学コース―104―

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